• 精進料理は、堅苦しいもの。ストイックなもの。そんなイメージを持つ方も多いかもしれません。けれど、精進料理はむしろ、どんな人でも受け入れることのできる、おおらかな料理なのです。お肉やお魚を食べられない人も、卵や牛乳にアレルギーを持つ人も、何の気兼ねをすることもなく、一緒に食卓を囲むことができます。主菜、副菜から甘いものまで、家庭で手軽につくれる精進料理のレシピを、「こまきしょくどう」の藤井小牧さんにうかがいました。今回は、「高野豆腐のあんかけ」のつくり方を紹介します。
    藤井小牧・著『カフェ風精進料理 こまき食堂』より

    高野豆腐のあんかけのつくり方

    淡泊な高野豆腐は、揚げることで満足感のある味わいに。精進だしのあんに、たっぷりとひたして。

    画像: 高野豆腐のあんかけのつくり方

    材料 (4人分)

    ● 高野豆腐4枚
    ● 片栗粉小さじ1
    ● 揚げ油適量
    ● 〈あん〉
    A
    ・にんじん(せん切り)100g
    ・しめじ(石づきを取ってほぐす)1株分
    ・精進だし(*)400ml
    B
    ・しょうゆ、酒各大さじ1
    ・塩少々
    ● 水溶き片栗粉片栗粉 小さじ1+水 大さじ2
    ● あればゆずの皮(せん切り)少々

    つくり方

     高野豆腐は袋の表示どおりにたっぷりの水でもどし、8等分に切る。

     ビニール袋に片栗粉との高野豆腐を入れ、袋の底をたたくようにして全体に粉をまぶしつける。180℃の油でカリッと揚げる。

     鍋にAを入れて火にかける。にんじんがやわらかくなったらBを加え、水溶き片栗粉でとろみをつけ、を入れる。器に盛り、あればゆずの皮を散らす。

    *精進だしのとり方

    だしを加えると、どの料理も味わいがしっかりと決まります。肉や魚の強いうま味に慣れた舌には、野菜中心の料理は物足りなく感じがち。しかし、だしを加えることで満足感が生まれます。だしは、昆布としいたけが基本ですが、しいたけの香りを使いたくないときには、昆布だけでだしをとります。

    画像: *精進だしのとり方

    干ししいたけ小3個と、昆布5cm角3枚を、水2リットルを入れた容器に入れ、3時間、できればひと晩つけ込む。

    冷蔵庫で保存し、冬は3~4日、夏は2~3日で使い切る。

    ※ ※ ※

    精進料理の主菜

    お肉もお魚も使わない、精進料理の主菜。それでも十分、満足できるのは、酒粕やごまペースト、八丁味噌など、うま味とコクのたっぷり出る素材を上手に組み合わせ、取り入れているから。

    たとえば高野豆腐などの淡泊な素材は、一度からりと揚げてから味を含ませるなどというひと工夫もしてあります。

    精進料理というと、しょうゆとお砂糖でじっくり煮込んだような、いかにも"和"な味つけをイメージされる方も多いかもしれませんが、

    「和風でなければならない」などというルールは、まったくありません。

    トマト缶やコーンクリーム缶を使うのも自由ですし、カレーだってつくり方によっては立派な精進料理です。

    精進料理の考え方

     五味・五色・五法

    五味は、「甘・塩・酸・辛・苦」、五色は「黒・白・赤・黄・青(緑)」、五法は「生・煮る・蒸す・揚げる・炒める」を表します。この、五味・五色・五法を効果的に組み合わせることによって、栄養がととのい、バランスのよい食事をつくることができるのです。また、見た目も美しく、食べる側も楽しい気分になります。

     「身土不二(しんどふじ)」

    人間は自然の中の一部であり、自然環境の中で生かされています。その土地に生きる生物は、その土地で得られる食物を食べることで、その地で生きるための適応力を身につけているという法則が、この「身土不二」です。また、住んでいる土地、地域に身近な産物を大切にするという、「地産地消」を勧める言葉でもあります。

     「旬」のものを食べる

    旬の野菜や山菜にはパワーがあります。旬の時季にはどの野菜も最もエネルギーを蓄えているので、その季節に人間が一番必要とする栄養素や元気をもらうことができるのです。たとえば冬の根菜類は体を温め、夏の瓜類は熱を冷ます効果が。また、旬の野菜はその季節だけでなく、次の季節に合う体をつくります。

     「一物全体(いちもつぜんたい)」

    精進料理の調味料は控えめです。天地の恵みである農産物を大切にし、その素材の持ち味を十分に生かすことが、調理の基本だからです。また、野菜などは丸ごとすべてを使い切ります。命あったものを大事にして粗末にしない考えの根本は、殺生しないことと関連しており、何ひとつ、むだにしないことにつながります。

     追いかけて逃げるものは食べない

    精進料理では、魚も肉も口にしません。何を食べ、何を食べないのか。その簡単な見分け方のひとつが、「追いかけて逃げるものは食べない」です。動物不殺生は、精進料理の基本中の基本。そのこともあり、精進料理のだしにはかつお節が使われることはなく、昆布としいたけなどのきのこが使われているのです。


    <料理/藤井小牧 撮影/川村 隆 取材・文/福山雅美>

    藤井小牧(ふじい・こまき)
    東京・秋葉原にある「カフェ風精進料理 こまきしょくどう」店主。臨済宗僧侶であり、精進料理家としても知られる藤井宗哲氏と、精進料理家の藤井まり氏との間に生まれ、幼いころより精進料理とともに育つ。現在はお店に立つかたわら、東京の生産者・加工業者を応援する活動「メイドイン東京の会」にも参加している。2020年3月に『こまき食堂』(扶桑社)が発売。
    ※ ※ ※
    こまきしょくどう
    東京都千代田区神田練塀町8-2
    TEL.03-5577-5358

    天然生活の本『こまき食堂』(藤井 小牧・著)
    天然生活の本
    『こまき食堂』(藤井 小牧・著)

    天然生活の本『こまき食堂』(藤井 小牧・著)

    B5判
    定価:本体 1,400円+税
    ISBN978-4-594-08460-8

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