力の入れどころと抜きどころのバランスをとる
朝が7なら夜は3くらい。ワタナベさんの家仕事の朝晩の比重です。とにかく朝が勝負。
密度の濃い朝とは対照的にぐっとペースがゆるまる夜時間。「9時過ぎると眠くなっちゃって」とワタナベさんは笑いますが、朝に集中して家仕事をこなしているのですから当然のこと。
前もって家事をがんばったごほうびのように、ストレッチポールの上でゆらゆらしたり、洗濯物をたたみながらテレビを見たり、息抜きもちゃんとして、明日の朝に備えます。
野菜を買ってきたら、冷蔵庫にしまいこんでしまう前に、切ったり塩もみしたりしておく。ゆで卵をつくるなら多めにゆでて、残りはしょうゆ漬けにしておく。
などなど、日々の家事にちょっとずつプラスして「家事の貯金」を増やしているワタナベさん。疲れたときや、時間がないときなどはその「貯金」を使って少し省エネに。
食洗機や乾燥機など、便利なツールにほどほどに頼りながら、力の入れどころと抜きどころのバランスをとり、自分の心地よい状態をキープしています。
最近変わったことといえば、時間の使い方。息子さんが中学生になって部活を始め、家にいる時間がぐっと減ったのです。それに伴い、自分のための時間も増えました。
「習い事を始めようかなと考えているところ」。子育てからの卒業を見据え、暮らしの変化を前向きに捉えているようです。
ワタナベさんの夜時間
19:30 だしとぬか漬けをセット
翌日の料理の下ごしらえを
台所作業の最中にだしとぬか漬けの仕込み。だしはジャグに水1.4リットル、昆布10cmほどと、わたを取ったいりこを5〜6本投入するだけ。ぬか漬けは、きゅうりやにんじんは1/2本、キャベツなら1〜2枚の葉を巻いて、小さなぬか床に入れます。「1回の食事で食べきれる分だけなので負担なく続けられます」
20:00 洗ったお皿は食器棚の上に干す
土ものの食器を完全に乾かす
お皿を洗いさっとふいたら、お盆に並べて食器棚の上にひと晩置いておきます。翌朝、完全に乾いたら食器棚に収納。「粉引の器や漆器などは、完全に乾かしてからしまわないと、シミや傷みのもとになってしまうんですよね」。一方、磁器やガラスなどタフな器は食洗機にかけて、どんどんしまっていきます。
20:30 息子の制服などにヒバオイルをシュッ
消臭効果があり、さっぱり感をキープできる
このところ暮らしのお気に入りとして活躍しているのがヒバオイル。ヒバの木から抽出した天然の油で木のすがすがしい香りがし、抗菌作用、防虫・防カビ効果が期待できます。「オイルはワックスのように木製品のケアや掃除に使ったり、スプレーは衣類や靴に吹きかけて消臭したり、いろいろに使っています」
21:00 キッチン全体をふき掃除
汚れをためず、翌日気持ちいい状態に
食の片づけが終わったら、最後にキッチンの掃除。電解アルカリイオン水をスプレーしながら、シンク、コンロまわり、換気扇までをウエスでふき掃除。「『超電水』というマルチクリーナーを使います。水でできているのでキッチンまわりでも安心だし、油汚れもスッキリ落ち、二度ぶきの必要もないんです」
夜の時間割
18:30 | お米を炊く。朝、準備しておいた食材を使って夕食の仕上げ |
19:15 | 息子帰宅 |
19:30 | 息子と夕食 |
20:00 | 夕食の片づけをしながら夫のごはんのセット |
21:00 | 洗濯物をたたむ。ストレッチポールを使ってストレッチ |
22:00 | 入浴 |
23:00 | 就寝 |
季節の段取り
その時季のおいしいものをたっぷり楽しむためにストック食材をつくります
きのこペーストをつくる
旬の食材はそのまま使う以外にストック食材に。秋はきのこが大活躍。マッシュルームやしめじを白ワインや玉ねぎなどと炒めてペーストにしたものを、パンに塗ったり、パスタとあえたり。
<撮影/大森忠明 取材・文/鈴木麻子>
ワタナベマキ(わたなべ・まき)
料理家。グラフィックデザイナーを経て、料理の世界へ。シンプルな調味料と調理法で素材の魅力を引き出す料理が人気。四季を大切にしたていねいな暮らしぶりが、幅広い年代から共感を得ている。
インスタグラム:@maki_watanabe