(『天然生活』2017年12月号掲載)
背伸びして手に入れてそれに追いつく自分になる
栃木出身で高校の同級生だったという相場さんご夫妻。上京し、ふたりで暮らしはじめたころに初めて買ったのが、「パシフィック ファニチャー サービス」のテーブルでした。
実は、飲食店を営む正一郎さんのご実家では、お父さまや店舗の内装を手がけてくれたおじさんが大の家具好きで、自身も幼いころからシェーカー家具などに触れて育ってきたそう。
「いいものを長く使うこと。経年変化を楽しむことを教えてもらいましたね」と正一郎さん。ダイニングテーブルは、当時のふたりにとっては高価でしたが、エイッと思いきって手に入れたときのワクワク感が忘れられないそう。
さらに、雑誌を見て憧れていたのが、大阪の家具ショップ「トラック」でした。ご自身のレストラン「LIFE」のオープン時に大阪のショップを訪ね、店用と自宅用に「EIGHT CHAIR」をオーダーしたそうです。
普通なら、店舗用の什器はコストを抑えるところですが、「とにかく自分の大好きな家具を」とそろえたのが正一郎さんのすごいところ。その後、「LIFE son」「LIFE sea」をプロデユースしたときも同じです。つくりたかったのは、レストランというよりも、おいしいものを食べ、仲間とおしゃべりし、ひと時を過ごす「場」だったよう。
あれから16年。ご自宅のダイニングテーブルはいまもずっと変わりません。
「友達などを招くと小さくて……。何度も買い替えようとしたんですが、やっぱりこれがいい、って、落ち着くんです」と笑う奥さまの千恵さん。
最近、「トラック」のアームチェアの生地を張り替えたばかり。さらに、新たに20周年記念モデルの椅子が仲間入りしました。
「張り替えたり、オイルを塗ったり。手を加えながら使いつづけるのが楽しいですね」と正一郎さん。
ちょっと背伸びして手に入れ、その家具に見合う自分になる……。ご夫婦にとって、テーブルと椅子は、ともに成長する相棒のようでした。
おまけの一脚
ようやく見つけた、テーブルと椅子|「CAFÉ TROIS」オーナー 東川則子さんへ⇒
<撮影/尾嶝 太 取材・文/一田憲子>
相場正一郎、千恵(あいば・しょういちろう、ちえ)
2003年に東京・代々木公園にカジュアルイタリアン「LIFE」をオープン。現在は「LIFE son」「LIFE sea」など全国に5店舗を運営する。千恵さんは、歯科衛生士として長年働き、今年から「LIFE」の仕事を手伝うようになった。
http://www.s-life.jp/
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです