(横山タカ子・著『信州四季暮し』より)
おせち料理を作ったら、お重の写真を撮り、毎年一冊のノートにまとめています。翌年になれば、昨年作ったものすら忘れてしまうからです。自分用のメモですので、このノートの存在は娘も知りません。
三種の祝肴は、黒豆、田作り、たたきごぼうにしています。こちらの地方は、数の子なのですが、私の好みで、ごまたっぷりのたたきごぼうを取り入れて。
この祝肴にお屠蘇があれば、新年を迎えられますが、もうひとつ、実家からの風習で鰤ぶり、鮭を一尾ずつ求め、刺し身、塩焼き、鰤大根と、年末から三が日いただきます。
祝肴の作り方からお屠蘇薬材の配合、郷土料理のおせちからアレンジまで、毎年写真を増やしながら、繰り返し迎えられることのありがたさをかみしめての年末です。
おせち料理のレシピ
紅白なます、黄にんじんのなます、赤大根のなます
下の写真右、上から
材料(作りやすい分量)
● 大根、にんじん、黄にんじん、赤大根 | 各適量 |
● 塩 | 適量 |
● 基本の甘酢(作りやすい分量) | |
・水 | 200ml |
・酢 | 150ml |
・砂糖 | 大さじ7 |
・塩 | 大さじ1 |
作り方
1 野菜はせん切りにし、重量の2%の塩をして、30分ほどおく。
2 基本の甘酢の材料を混ぜ合わせる。
3 野菜の水けをきり、大根とにんじんは合わせ、それぞれ2に浸す。翌日から食べられる。
いもなます 長野県北部の郷土料理
上の写真左
材料(作りやすい分量)
● じゃがいも(好みの品種) | 250g |
● 酢 | 大さじ2 |
● 塩 | 小さじ1/2 |
● 砂糖 | 小さじ2 |
● 菜種油 | 大さじ1 |
作り方
1 じゃがいもは細めのせん切りにし、3度水に晒してから、水けをよくきる。
2 1を鍋に入れ、酢、塩、砂糖を入れて30分おく。
3 水分が出てきたら強火にかけ、水分を飛ばす。すぐにバットに広げ、油をまわしかける。
松風
下の写真上
材料(5人分)
● 木綿豆腐 | 150g |
● 鶏挽き肉 | 200g |
● 味噌 | 大さじ1 |
● しょうが(みじん切り) | 小さじ1 |
● 卵 | 1個 |
作り方
1 すべての材料をボウルに入れて混ぜる。
2 油少々(分量外)を引いたフライパンに入れて、四角形に成形し、両面を5分ずつ焼く。
3 3cm角程度に切り、あれば笹の葉やようじなどに刺す。
*焼くときに、5mm厚さに切ったれんこんと大根各5枚分をフライパンの隙間に入れ、一緒に焼くとよい。
日の出玉子
上の写真下
材料(5人分)
● 卵 | 5個 |
● たらこ(無着色のもの) | 1腹(2本) |
● 海苔(全形) | 1枚 |
●A | |
・酒 | 大さじ2 |
・砂糖 | 大さじ2 |
・淡口しょうゆ | 小さじ1 |
・塩 | 小さじ1/2 |
● 菜種油 | 適量 |
作り方
1 たらこを海苔で巻く。ボウルに卵、Aを入れて混ぜる。
2 熱した玉子焼き器に油を引き、卵液をおたま一杯程度入れて広げ、向こう側に海苔巻きたらこを置く。向こう側から手前に玉子を巻く。適宜油を足しながらこれを何度か繰り返して焼く。
3 熱いうちに鬼すだれで巻き、輪ゴムで留める。粗熱が取れたら切る。
柚子がま 長野の郷土料理
材料(5人分)
● 柚子 | 5個 |
● 煮干し(小) | 25本 |
● A | |
・味噌 | 250g |
・長ねぎ(みじん切り) | 3本分 |
・砂糖 | 大さじ4 |
作り方
1 柚子は上から1/4くらいのところで切り、スプーンで中身をくり抜く。
2 Aの材料を混ぜ合わせ、1の中に入れ、煮干しをそれぞれ5本差し込む。
3 天板に2と、切った柚子のふたを並べ、200℃に温めたオーブンで、13分焼く。
4 ふたをして盛りつける。
<撮影/本間 寛>
横山タカ子(よこやま・たかこ)
料理研究家。長野県大町市生まれ、長野市在住。長年、保存食を中心とした長野の食文化を研究すべく各地に赴き、料理名人から教わる。長野県の特徴でもある、野菜をたっぷりと使った保存食は「適塩」で作り、季節の食材は手をかけすぎず、素材を生かしてシンプルに食べることを信条とする。地元の農作物を広める活動にも尽力。大の着物好きでもある。