平成の天皇・皇后両陛下(上皇・上皇后両陛下)のご成婚60年を記念し、宮中に伝わる四季折々のお料理や宮中行事のお料理を、宮内庁の監修により初めて公開した書籍『宮中 季節のお料理』。両陛下が日々お召し上がりになるお料理ではなく、お正月や節句などの季節の節目や両陛下のお誕生日、宮中祭祀などの年中行事の折に、宮殿や御所で供されるお料理を掲載しています。本書籍に掲載されたお料理の中から、一部を紹介いたします。今回は、「若菜の節句」にあたる1月7日、両陛下のご朝餐に出される「七草粥」です。
『宮中 季節のお料理』より
『宮中 季節のお料理』より
七草粥|一月七日 ご朝餐 御所にて
「若菜の節句」にあたる1月7日、両陛下のご朝餐に「七草粥」が出されます。
土鍋に丸小餅を2つ入れた七草粥を盛り、別皿に奈良漬瓜などの漬け物を添えます。七草はセリ(芹)、ナズナ(薺)、ゴギョウ(御形)、ハコベラ(繁蔞)、ホトケノザ(仏の座)、スズナ(蕪)、スズシロ(大根)で、なかには御所のお庭で採れたものもあります。
また、二十四節気の「立春」の初日(例年2月4日頃)にも、両陛下には1月7日と同じく、ご朝餐に「七草粥」が出されます。
コラム: 若菜摘みと人日(じんじつ)
七草粥を食べる風習は、栄養と薬効のある七草を食して邪気を祓うものとして一般に知られています。
古代より日本では、新年に野に出て雪の間から芽を出した草を摘む「若菜摘み」という風習があり、これを羹(あつもの)(汁物)にして食したのが七草粥の原点といわれています。
また、古来中国では旧暦1月7日の「人日」に、7種類の野菜を入れた羹を食べる習慣があり、これが日本に伝わって七草粥となったともいわれます。
いずれにせよ、七草粥の風習は日本では平安時代に始まり、江戸時代より一般に定着したようです。