「鳥の声で目が覚めるのよ」。週に一度、そんな朝を迎えているという石田紀佳さん。自然の恵みいっぱいの時間について伺いに、里山にある家を訪ねました。今回は、石田さんの朝の楽しみを織りなす、7つの習慣についてのお話です。
(『天然生活』2016年7月号掲載)
朝の楽しみ1
自家製味噌でつくったおいしい味噌汁を味わう
石田さんが「完璧な栄養ドリンク」と呼ぶ味噌汁。消化もよいので、目覚めて間もない体に入れるのにぴったりです。
風味とコクが格別なのは、自家製の味噌ならでは。石田さんは、味噌汁を薄味につくっておき、飲むときに好きな味噌を追加して味を調整するそう。それぞれ、ヒヨコ豆に大麦麹、大豆に小麦麹、小豆に米麹を加えた3種類。
「味噌のうま味だけで十分なので、だしは使わないの」
朝の楽しみ2
朝の空気と光を、部屋いっぱいに取り込む
起きたら、まずは窓を大きく開けて、前の晩から部屋にたまっていた空気を、新鮮なものと入れ替えます。
「窓を開けた瞬間が、すごく気持ちいい。換気のためだけではなく、朝の光を部屋の中に取り込むという意味もあるのよ」
みずみずしい空気を吸い、光を浴びることで、眠っていた体も頭も、しだいに目覚めてきます。気持ちまで明るくなって、一日のスタートを元気に切れそうです。
朝の楽しみ3
ゆっくり呼吸しながら、おなかまわりをマッサージ
「すっきりして、体が目覚める」と、石田さんが毎朝の習慣にしているマッサージ。腹式呼吸をしながら、おなかや骨盤まわりを、腸の向きに沿って、つまり時計まわりにやさしくマッサージします。
「夜の間は断食しているので、朝は、おなかが空っぽ。だからマッサージしても危なくないの」
朝ごはんもおいしく食べられるそう。呼吸する際には、息をゆっくり吐くことがポイントです。
朝の楽しみ4
緑のなかを散歩しながら、毎朝、パワーを充電
「里山の家では、とにかく外が気持ちいい。起きたらすぐ、顔も洗わずに飛び出していくこともあるくらい」
家の隣にある菜園や裏山など、緑のなかをゆっくり歩きながら、野草を摘んだり、ときには、はだしで草の上を歩いたりして、植物との対話を楽しみます。
「植物からエネルギーをもらうから、体も心も元気になるんです。東京にいるときも、ときどき、朝の明治神宮などを散歩しますよ」
朝の楽しみ5
ハーブや果実の皮をブレンド。温かなお茶で、ほっとひと息
朝ごはんのあとや家仕事の途中に、温かなお茶を一杯。
石田さんは、自家製の茶葉で淹れるほか、半干ししたみかんの皮と青じその穂をブレンドしたもの、菜園で育てたホーリーバジルなどのお茶も楽しんでいます。みかんと青じそのブレンドは、酸味と苦味が効いた味わい。
「体が温まるし、頭もすっきりするでしょう」
茶器は、展示会なども手がけた、仲よしの陶芸家の器を使っています。
朝の楽しみ6
愛らしい野の花で季節を部屋に呼び込む
「散歩の途中、たまたま足元にひっかかった花を、『摘ませてもらう』という気持ちで、少しだけ持って帰ります」と、石田さん。
季節の野の花を、ほんの少し飾るだけで、部屋が、ぱっと明るい雰囲気になります。生き生きとした花が、家の中と外の境界をゆるやかにつないでくれるようです。
「わざわざ花瓶に活けなくても、短く切ってコップに入れるだけでもかわいいでしょう」
朝の楽しみ7
人を出迎える玄関を手づくりのほうきできれいに
友人たちが遊びにくることも多い里山の家。いつでも気持ちよく迎えられるように、一日の始まりに玄関前を掃いてきれいにしておくのも日課です。
夜のうちに積もった小枝や枯れ葉を取り除いていくうちに、玄関前に広がっている苔が徐々に姿を現してきました。
「なんだか、苔のじゅうたんみたいでしょう」
手づくりのほうきで、ていねいに掃除をすることで、気持ちもすがすがしくなるようです。
<撮影/砂原 文 取材・文/嶌 陽子>
石田紀佳(いしだ・のりか)
展覧会や執筆、ワークショップなどを通じて、手しごとや植物について紹介している。著書に『魔女入門 暮らしを楽しくする七十二候の手仕事』(すばる舎)。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです