互いに手を取り合い、より充実した店へ
「タルイベーカリー」は、イタリア料理を提供するカフェレストラン「LIFE Son(ライフサン)」に併設されています。「LIFE Son」とは、代々木八幡のイタリアン「LIFE」といえばご存じの方も多いと思いますが、その系列店で、著書も多い相場正一郎さんがオーナーシェフを務めています。
「タルイベーカリー」の店主、樽井さんと相場さんはもともとお知り合い。樽井さんが富ヶ谷の名店「ルヴァン」から独立するのを知った相場さんが、「お店を出したい物件があるのだけど、ひとりでやるには広すぎるから隣でやってくれないか」と相談したのが事の始まりだそう。
ただ隣り合っているだけでなく、ふたつの店は協力関係に。「タルイベーカリー」はテイクアウトのお店ですが、買ったパンを「LIFE Son」のテラス席またはカウンター席でいただくことができます。また、「LIFE Son」で提供されるパンは樽井さんが焼いたもの。カンパーニュにいろいろな具材をのせた「タルティーヌ」は人気メニューのひとつで、パンのおいしい食べ方の参考になると評判です。
使うのは、真摯にモノづくりをする人のもの
パンに使う食材は、吟味して選んだものや知り合いから教えてもらった「体にいいもの」を使うという樽井さん。「全部じゃなくて、なるべくですけどね」と何度も念押ししながらも、その想いを語ってくれました。
「塩は長崎県・平戸の鹿島浜で今井さんという方がつくっている『釜炊き塩 海の子』を使っています。天日干しして釜で炊いてという昔ながらの製法で、1カ月もかけてつくっていらっしゃる。正直、塩の味ってそれほど変わらないんだけど、そんな風に真面目につくっているものを使いたくて」
「ソーセージとハムは、豚の飼育から加工、販売までを家族経営で行う鹿児島の『ふくどめ小牧場』のものを使っています。福留さんの牧場に見学に行ったんですが、すごい素敵な方で。ソーセージやハムはいちからの手づくりで、シンプルな味わいでおいしいんです」
一口食べるとその言葉どおり、ソーセージからは自然でやさしい旨味が感じられます。
このほかにも、東京・青梅市で西洋野菜や日本の伝統野菜を有機農法で栽培する「Ome Farm(青梅ファーム)」の野菜を使用。端境期が多く、悪天候が続くと野菜が入ってこないなんてこともよくあるそうですが、手に入るときは「Ome Farm」のものと決めています。
人とのつながりを大切にお客さんに楽しんでもらえるお店づくりをし、惚れ込んだ生産者がつくる体にやさしい食材を使ってパンを焼き続ける「タルイベーカリー」。食べると自然と力が湧いてくるその滋味深いパンを、ぜひ味わってみてください。
<撮影/山田耕司 取材・文/諸根文奈>
TARUI BAKERY(タルイベーカリー)
03-6276-7610
9:00~19:00
月休み
東京都渋谷区代々木4-5-13レインボービル3 1F
最寄り駅:小田急線「参宮橋」
https://www.instagram.com/taruibakery/?hl=ja
※日によって配送のパンセット(2000円、3000円)の注文を受け付け。SNSで随時情報を発信されているので、ぜひチェックを。