(『天然生活』2013年9月号掲載)
Leather
革を使ってつくるブックカバーとしおり
Ohama 大濱由惠さん
端がほつれる心配のない革は、意外と扱いやすい素材。穴をあけてから手縫いするので力がいらず、工作感覚で楽しみながらつくれます。ステッチやポケットの革の色合わせを楽しめるのも手づくりならでは。はぎれでつくれるしおりは、本体より少し薄めの革で。
作品は文庫本サイズ(幅25×高さ16.5cm)
How to make
「革のブックカバーとしおり」のつくり方
*材料、製図で青で表記してある寸法は文庫本サイズ、ピンクで表記してある寸法は新書サイズです。
*製図、つくり方のなかの数字の単位はすべてcm(センチメートル)です。
材料
〈牛革(1.2mm厚)〉 | |
・本体用 | 25×16.5(19)cm ×1枚 |
・見返し用 | 6×16.5(19)cm ×2枚 |
・ポケット用 | 5.5×5.5cm ×1枚 |
〈牛革(1.0mm厚)〉 | |
・しおり用 | 3×9cm 各1枚 |
● 麻糸(エスコード・中細) | 3m10cm |
● ゴムのり(木工用接着剤で代用可) | 適宜 |
● ロウ引き用のロウ | 適宜 |
*厚さが1.3cm程度までの本に対応
製図
型紙
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つくり方
1 型紙に沿って、ポケット、しおりをカッターで切る。
2 イラストを参考に、洋裁用の目打ちなど先端がとがっているものを使って、見返しとポケットにステッチのガイドラインを引く。
3 本体にポケット付け位置の印をつける。
4 ポケットの裏に0.3cm幅でのりを塗り、本体に付ける。2でつけたポケットのガイドラインに合わせ、菱目打ちで、ステッチ穴をあける。最初と最後の目は1目分、外に出す。
ステッチ穴のあけ方
下にカッティングボードなどを敷き、菱目打ちの刃をガイドラインに合わせ、垂直に木づちなどで叩く。次の目を打つときは先に打った最後の目に1目重ねる。
[道具]菱目打ち
ステッチ穴をあけるために使用。革は、布のように針を直接刺して縫うことができないため、前段階として、ステッチ穴をあける。その名のとおり、菱形(斜め)の穴があけられ、美しい斜めのステッチが刺せる。刃の本数、刃自体の幅や刃同士の間隔(ピッチ)もさまざまあり、制作するものに合わせて使用する。写真は1.5mm幅3mmピッチの2本目打ち
5 麻糸(60cm)をロウ引きし、イラストを参考に、平縫いでポケットを縫う。
平縫いの仕方
1 糸の両端を針に通す。最初の目に針を刺して、左右の糸の長さを均等にする。
2 イラストを参考に、2目めに両側から糸を通す(このとき、お互いの糸をすくわない〈割らない〉よう注意)。左右の糸を均等に引っ張る。
3 2を繰り返していく。
4 縫い終わりは2目戻り、縫い目に重ねて縫う。
5 ぎりぎりで糸を切り、ほつれ止めのため、目打ちを使って、のりをつける。
6 4~5を参考に、本体と見返しをのりで貼り合わせて、菱目打ちでステッチ穴をあけ、それぞれロウ引きした麻糸(110cm)で平縫いで縫う。
7 イラストを参考に、しおりの上部にボンドをつけ、折り返す。菱目打ちでステッチ穴をあけ、ロウ引きした麻糸(30cm)で平縫いする。
〈撮影/大森忠明 スタイリング/西森 萌 編み方解説/石郷美也子 イラスト/小崎珠美〉
Ohama 大濱由惠(おおはま・よしえ)
東京・江戸川の小さな平屋に工房を構え、「Ohama」として革バッグや小物を制作。「もつ人になじむ」をコンセプトにつくられるシンプルなデザインのバッグは、しっかりとしたつくりに定評がある。手縫いの革バッグ教室や革小物のワークショップも人気。著書は『ほのぼの革小物教室』(雷鳥社)。
http://www.ohamabag.com/
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです