(『天然生活』2015年12月号掲載)
最後までおいしく食べられる献立のコツ8つ
おいしく食べきるためには、一品ごとのこだわりも、献立内のバランスも、重要になります。
食感、味わい、調理法、色など、そのポイントを知っておくとよいでしょう。
旬のものを積極的に取り入れる
秋にはさんま、冬はぶりなど、旬の食材には、「この季節だからこれを食べたい」というワクワク感があり、それだけで食卓に楽しさが生まれます。
野菜や果物なども、季節のものは美味であるのはもちろん、体が欲しているものを満たしてくれるというメリットもあります。
調味料は極力少なく。素材の味を立たせる
調理料の味が立ってしまうと、料理が似た味に仕上がり、何を食べたのか実感が乏しくなってしまいます。
せっかくいろいろな食材を使うのだから、調味料をなるべく使わずに食材の味で食べさせることが大切。
結果的には塩分、糖分を控えることにもなり、健康面でも○。
ひと皿に3つの食感を意識
ひとつの料理で3つ以上の食感を意識すると、ただ混ぜただけでも、複雑さが出て上等な味わいに仕上がります。
筑前煮なども、一緒に煮るのではなく、れんこんはシャキシャキ、里いもはねっとりやわらかくなど、各素材の食感が生きるように調理することがポイント。
1献立に、甘、辛、酸の3つの味を入れる
献立のなかで味の変化があることも大切です。
甘辛酸の3つの味を意識すると、味のバランスがよくなり、おいしく食べきれます。
たとえば、照り焼きにかぼすの酸味を添える、豚の角煮に辛子を添える、といったワンポイントでもOK。
味の変化が楽しめます。
目的によって素材の切り方を変える
素材の食感に大きく関わるのが切り方。とくに、野菜は繊維があるので繊維に沿って切るとシャキシャキの食感が残り、繊維を断ち切ればやわらかく仕上がります。
大根をサラダにするのなら繊維に沿って切り、ふろふき大根の場合は輪切りにして繊維を断ち切ります。
献立内の調理法を変える
調理法には、炒める、焼く、揚げる、蒸す、煮込む、ゆでる、さっと煮る、炊くの8種類があります。
献立内の3つのおかずは、違う調理法にすると味のバランスがとりやすくなります。
人によって好きな調理法に偏りがちなので、意識するだけで味に変化が出てきます。
吸い口、薬味、香のものを入れる
吸い口、薬味、香のもの。これらを料理に添えるだけで、ちょっとしたおもてなし感、高級感を演出できます。
木の芽、ゆずなどから自然に季節を感じられますし、定番のねぎでも、上手にあしらえば、それだけでおいしそうな印象に。
見た目や風味の演出も大切にしたいもの。
色のバランスを考える
一般に、1献立に5色入ると理想的といわれ、食事の楽しさを盛り上げるためにも重要。
その際、注意したいのが、にんじんなどの赤。前に出る色のため、使いすぎても逆効果に。
筑前煮に入れる場合、ごぼうより1割小さく切るとバランスがよくなります。
しいたけの黒も同様です。
〈料理/松田美智子 撮影/川村 隆 取材・文/野上郁子(オフィスhana) イラスト/松尾ミユキ〉
松田美智子(まつだ・みちこ)
料理研究家、テーブルコーディネーター。日本雑穀協会理事。女子美術大学講師。季節感と素材そのものの味、風味を大切にし、理に叶った調理法を提唱している。著書に『季節の仕事』(扶桑社)ほか多数。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
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