生活研究家の阿部絢子さんのドタバタな日常の失敗談を綴るエッセイの連載です。今回は、テレビで換気扇掃除のハウツーを紹介した際の大失敗。
換気扇掃除の大失敗
暮れの「大掃除」企画が多かった時代。
あるテレビ局からの依頼で、視聴者宅に伺い、そのお宅の換気扇掃除テクニックを収録することになった。
通常であれば、冬の換気扇にこびり付いた油汚れは、とても落ちにくいから、まずは油汚れを削ぎ取り、それから洗剤を…となる。
だが、その時の私は「アルカリ性洗剤の洗濯用は落ちがいい」との実験結果から、熱湯に溶かした洗濯用洗剤を換気扇に湿布(洗剤液を浸したキッチンペーパーを貼り付ける)する方法を。
30分経過したのち、ペーパーを剝がしながら、油汚れをこすり取っていった。
油汚れはラクラクと順調に剥がれ、上手くいった。
と、ところが、剥がれたのはいいが、換気扇フィルターの塗装が一部剥がれた。
その場では、ほんの一部で少量ゆえ、そのままで収録終了。テレビ局は映像を紹介。
すると、喜びの声どころか、視聴者から次々と剥がれクレーム。
5年ほど後、別番組で当の担当者に再会。彼女にその時の顛末を聞かされた。
今なら大騒ぎ。
当時、私に苦情を告げることなく治めてくれた担当者氏の寛容な心に、遅ればせながら感謝、感謝!
本当に、視聴者の皆さま、ごめんなさい!
<文/阿部絢子 イラスト/北村人>
阿部絢子(あべ・あやこ)
生活研究家。消費生活アドバイザー。「万人が家事を科学的に効率よくスムーズにこなすには?」を研究、提唱し続ける。『老親の家を片づける ついでにわが家も片づける』『老いのシンプル節約生活』(ともに大和書房)、『ひとり暮らしのシンプル家事』(海竜社)など多数。