• 二十四節気 大雪(12/7~12/20)
    日々の暮らしの中にある季節の移ろいを
    白井明大さんの詩・文と當麻妙さんの写真で綴ります。

    会いたい


    お元気ですか

    そちらはもう
    初雪が舞ったでしょうか

    今年は思いがけないことが続いて
    いまはじっと息をこらえ
    家にいる時間ばかりが増えてしまいました

    でも
    ほんとうは
    思いはいつも
    空を飛んで
    海を渡って
    早くはやく会いに行きたい一心です

    いま
    どうしていますか

    目の覚めるような
    澄んだ青空の下でしょうか

    川面に夕日がきらめく
    土手を歩いている頃でしょうか

    静かに林にこだまする
    フクロウの声を聞いている真夜中でしょうか

    みんな元気ですか

    きっと
    また会いに行きます

    今年一年分の
    たくさんのたくさんの
    話したかった言葉を胸にして

    久しぶりに顔を合わせるよろこびを
    照れくさくって言葉にできず
    精一杯の気持ちで
    ごく普通のあいさつを交わしに

     

    季節の言葉:風花(かざはな/かざばな)

    晴れた空にちらちらと舞う雪を、風花といいます。

    空の青に細かな白が入り混じり、日に照り映えてきらめく光景は幻想のよう。

    二十四節気も、大雪(たいせつ)となり、雪の季節へと入っていきます。

    美しさも、厳しさも宿した冬の華を、今年はどんな思いで見つめることでしょう。

    十二月十一日から十五日には、七十二候*で大雪次候「熊穴に籠る」の候となります。いよいよ熊が冬ごもりするころ。

    冬眠といっても、熊は完全には眠りにつかず、子熊を出産することもあるそうです。

    越冬の備えをする知恵も、冬ごもりの間に力を出せる英気も、人間だって発揮できるに違いありません。

    *七十二候……旧暦で一年を七十二もの、こまやかな季節に分けた暦。日付は2020年のものです。

     


    白井明大(しらい・あけひろ)
    詩人。沖縄在住。詩集に『生きようと生きるほうへ』(思潮社、丸山豊賞)ほか。新刊に、詩画集『いまきみがきみであることを』(画・カシワイ、書肆侃侃房)。『日本の七十二候を楽しむ 増補新装版』(絵・有賀一広、角川書店)など著書多数。近刊に『三十三センチの時間』(Le phare poétique)。

    當麻 妙(とうま・たえ)
    写真家。写真誌編集プロダクションを経て、2003年よりフリー。雑誌や書籍を中心に活動。現在、沖縄を拠点に風景や芸能などを撮影。写真集『Tamagawa』。共著『島の風は、季節の名前。 旧暦と暮らす沖縄』(写真を担当、講談社)。現在、公式ホームページ Tae Toma Photographyにてオンライン写真展「KUDAKA」開催。
    http://tomatae.com/



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