(『天然生活』2014年4月号掲載)
さば寿司を、巻きすで手軽においしく美しく
巻き寿司づくりは、イメージよりもずっと簡単です。たとえば、さばの棒寿司も、専用の押し型なしで巻きすで十分に、おいしく美しくつくることができるのです。
「さば寿司で大切なのは、寿司飯がすき間なく詰まっていること。初めに、ぎゅっと丸くにぎってしまえば、ごはん同士がしっかりくっつくから、型がなくても上手に形づくれるんですよ」
「お寿司というとハードルが高いと思われがちですが、もっと気楽に考えてほしいですね」と長谷川弓子さん。一緒に食べたらおいしそうなものを、自由に組み合わせればいいのです。漬物同士ならどう合わせてもおいしいし、チーズや生ハムを入れて洋風にするのも趣向が変わり、楽しいもの。
彩り華やかなお寿司は、みんなが集まる場所への、おもたせとしてもぴったりです。
さば寿司のつくり方
作業自体は、簡単なものばかりで、だれもが驚く本格的な仕上がり。
白板昆布は、入手が難しければなくても大丈夫です。
寿司飯のつくり方(でき上がりの目安:760g)
米2カップ(400mL)に対して水460mLで普通に炊く。炊き上がったら飯台(または大きなボウル)に移し、米酢40mL、砂糖大さじ2、塩小さじ1弱を合わせたすし酢を素早く混ぜ合わせる。かたくしぼったぬれぶきんをかけ、冷ます。
材料(2本分)
● 真さば(三枚におろしたもの) | 1尾分 |
● 白板昆布(8㎝×30㎝) | 2枚 |
● しょうが | 40g |
〈三杯酢〉 | |
・米酢 | 80mL |
・砂糖 | 大さじ1と1/2 |
・薄口しょうゆ | 大さじ1弱 |
〈甘酢・つくりやすい分量〉 | |
・米酢 | 100mL |
・砂糖 | 大さじ4 |
・塩 | 小さじ1/6 |
● 塩 | 適量 |
● 寿司飯 | 190g×4 |
(それぞれかたくボール状ににぎり、ラップに包んでおく) |
※ さばは新鮮なものを選ぶ。しめさばにできるか、店頭で確認するとよい。
用意するもの
道具は、飯台と巻きす、そしてラップがあればOK。飯台がなければ、大きめのボウルでも代用できる。
つくり方
1 さばは腹骨を薄くすき取り、小骨を骨抜きで抜く。頭側に太い骨が残っていることが多いので、忘れずに抜く。
2 バットに塩少々をふり、1のさばを、皮目を下にして置く。さばの表面全体が白くなるまで、塩を満遍なくふりかける。身を上にしてざるにあげ、涼しい場所に、冬なら5~6時間、夏なら3~4時間置く。
3 〈しょうがの甘酢漬けをつくる〉甘酢の材料を合わせる。しょうがは皮をむく(皮はとっておく)。繊維に沿ってごく薄切りにし、透明感が出るまで軽くゆでる。甘酢を大さじ3とり、1時間ほど漬けておく。
4 小鍋に3の甘酢大さじ2と水大さじ2を合わせ、火にかける。沸いたら、白板昆布を入れ、15秒ほどしたら火を止め、そのまま冷ます。
5 三杯酢の材料を小鍋に合わせ、砂糖が溶けるまで軽く火にかけて冷ます。
6 2のさばを、さっと水洗いして塩を落とす。バットに大さじ2ほどの酢(分量外)を入れ、両面をさっとひたすように酢洗いする。洗った酢を捨て、バットに5の三杯酢、3のしょうがの皮を入れる。途中、上下を返しながら1~2時間漬ける。
7 さばの頭がついていたほうの背側から、薄皮をむく。
8 包丁で、さばの中心の身の厚い部分を横にそぎ取る(厚さを均等にすると同時に、長方形の寿司をつくる際に、尾に続く部分の欠けを補う)。そぎ取った身を斜めに切って、ふたつに分ける。
9 巻きすの上に、巻きすよりやや大きめのラップをのせる。手前側をさば1尾分あけ、さばを皮目を下にして置く。8でそぎ取った身を尾の部分に置き長方形にする。端を切るなどして形をととのえる。中央にせん切りにした3のしょうがをのせる。
10 寿司飯190gずつを、さば1枚に対してふたつずつのせる。手で満遍なく広げ、大まかに形をつくる。
11 手前側のラップを持って、しっかりと包み込むように巻く。手で強く押さえながら、形をととのえる。仕上げに巻きすで巻き、ぐっと力を入れて形をととのえる。
12 ラップを外し、軽く水けをきった4の白板昆布をのせる(長ければ、寿司の長さに合わせて切る)。ふたたびラップでしっかりと包み、半日ほどおいて味をなじませる。
〈撮影/有賀 傑 スタイリング/曲田有子 取材・文/福山雅美〉
長谷川弓子(はせがわ・ゆみこ)
東京都出身。料理家、栄養士。明治大学卒業後、社会人経験をしたのち、近茶流宗家・柳原一成氏、柳原尚之氏に師事し、日本料理を学ぶ。現在、聖徳大学短期大学部専任講師として、調理実習等を担当する。「海に囲まれた国に生まれたからには、ぜひ、魚料理に親しんでいただければ」
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
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