(『日常は5ミリずつの成長でできている』より)
「いつも」の外に一歩出る
今日は、日帰り出張です。7時25分羽田発の飛行機に乗ろうと思うと、6時半ぐらいには空港に到着しておきたいから、5時40分吉祥寺発のリムジンバスに乗ります。4時に起きて、家を出るのは5時15分ぐらい。冬なら真っ暗ですが、だんだん日の出が早くなり、今はうっすらと空が白んでくる時間帯です。眠くて、「あ〜、つらい」と思いながらも、このうっすらと紫色から赤へと変わっていく朝焼けの空を眺めると、毎回「早朝の出張っていいなあ」と思います。
その昔、『暮らしのおへそ』の別冊で「おへその旅」という一冊を作ったことがあります。その中で「出かけなくてもできる旅」として、自分が住む街を「いつもとは違う時間に歩いてみる」という提案をしました。いつも通っている駅前も、こんな早朝だとまったく違う風景に見えるから不思議です。以前、為末大さんにインタビューをさせていただいたとき、「今の人生の横に、もう一本別の道がある、ということに気づけば、生きるのがラクになる」とおっしゃっていたことを思い出しました。
「いつも」から出てみると、昨夜まで「絶対こうじゃなくちゃ」と思っていたことも、違った視点から見られるようになっている自分に気づきます。いつもの毎日を一歩離れるというのは、いいものだなあと思います。
本記事は『日常は5ミリずつの成長でできている』(大和書房)からの抜粋です
一田憲子(いちだのりこ)
1964年京都府生まれ兵庫育ち。編集・ライター。OLを経て編集プロダクションへ転職後、フリーライターに。暮らしまわりを中心に、書籍・雑誌で執筆。独自の視点による取材・記事が人気を得ている。『暮らしのおへそ』(主婦と生活社)では編集ディレクターとして企画・編集に携わる。著書多数。近著に『ムカついても、やっぱり夫婦で生きていく』(エムディエヌコーポレーション)、『うちでごはん』(扶桑社)がある。
https://ichidanoriko.com/
『日常は5ミリずつの成長でできている』(一田 憲子・著/大和書房・刊)
本書は、「暮らしのおへそ」編集ディレクター・イチダさんが、暮らしの中での発見と工夫を一年を通して綴った実践録です。時には落ち込んだり、壁にぶち当たったりしながらも、 それでも前を向いて、日々を乗り越えていく。無理せず、今の自分と向き合い、毎日少しずつ成長していく。そのリアルな様子には、これからの暮らしの助けになるヒントがたくさん詰まっています。 日常を大切に生きていきたいと願うすべての人に読んでいただきたい一冊です。