(『天然生活』2016年2月号掲載)
庄野さんのコーヒー道具
気負わず使えて、勝手がいいもの。プロダクトから作家物まで、庄野さんの道具選びは明快な基準に沿っています。
くまがいさん、吉村さん、照井さんの器
ポーレックスの手動ミル
メリタのドリップ&サーバー
安藤由紀さんの計量カップ
オリジナルのコーヒー缶
タカヒロのドリップポット
「14g(ワンフォージー)」でつながる、コーヒーと人とモノ
コーヒーが飲めて、人々の笑顔や素敵なモノに出合える場所。「14g」は、庄野さんの軌跡が集約されたようなお店です。
2014年9月に、「アアルトコーヒー」の姉妹店となるカフェ「14g(ワンフォージー)」をオープンしました。店があるのは、徳島市の、空洞化しつつある商店街の一角。
あえてそうした場所を選んだのは、「建物や街の力に頼らずに活気を呼び込めるような店がつくれたらいいなと思って。ライブや展示会など、カフェ以外の魅力も発信したいです」と、庄野さんは気負いのない調子で語ります。
ドアを開けると、鼻腔をくすぐる小麦粉の甘い香り。厨房で焼かれる天然酵母パンを、ブロカントな雰囲気の店内で、コーヒーとともに味わえます。店を切り盛りする悦子さんの笑顔もさわやかで、徳島はもちろん、他県から訪れるお客さんも少なくありません。
「コーヒー屋を始めてから、さまざまな人とのつながりが広がりました」と、ふたりは声をそろえます。「14g」は、そうしたつながりの結晶のような場所。
店のロゴ制作も、ワインの仕入れも、お客さんが力を貸してくれました。棚に並ぶクラフトの作家や、ライブに出演するミュージシャンも、コーヒーを介して親しくなった人たちです。
おいしいコーヒーは、人と人との距離も自然と縮めてくれる、魔法の飲み物なのかもしれません。素敵なつながりが、今後どう広がっていくのか楽しみです。
◇ ◇ ◇
14g ワンフォージー
徳島県徳島市東新町1−14−2F
TEL.080−6282−3266
営業時間 10:00~17:00
休み 火・水曜
https://www.facebook.com/14g.jp
庄野さんのコーヒー年表
1992年(22歳) 旅行会社に就職
2001年(31歳) 結婚
2003年(33歳) 長女が誕生
飲食の仕事に興味をもち、コーヒーロースターを目指すことを決意
2004年(34歳) 焙煎機を購入
尊敬する先輩ロースターと同じタイプをカスタマイズ
2005年(35歳) 次女が誕生
本格的に店舗物件探しをスタート。会社員を続けながら、焙煎の練習を重ねる
2006年(36歳) コーヒー豆屋「アアルトコーヒー」をオープン
祖父の倉庫を借りて焙煎し、賃貸の店舗で喫茶も営業
2010年(40歳) 焙煎所を兼ねた自宅兼店舗に移転
2014年(44歳) カフェ「14g」をオープン
〈撮影/伊東俊介 取材・文/高瀬由紀子〉
庄野雄治(しょうの・ゆうじ)
コーヒーロースター。「アアルトコーヒー」店主。著書に『誰もいない場所を探している』(ミルブックス)など。
http://aaltocoffee.com/