• 小児科医で微生物学者、そして2児のお父さんである本間真二郎さんは、現代の暮らしについて考えることが多くあります。そのひとつに、子どもたちにとって心身ともに健康で、自分らしく育つための環境が整っているかどうか。栃木・烏山で農的な暮らしをしている本間さん家族の生活をのぞいてみましょう。
    (『あかちゃんからのかぞくの医学』より)

    朝は日の出とともに活動! 土にたっぷりふれます

    人間は太陽とともに規則正しく活動することで、腸内も含め、生体のバランスが保たれると感じています。午前中は子どもと一緒に、畑で農作業をしたり、庭で花壇をつくったり。毎日の食事に欠かせない、調味料や味噌などを手づくりするときもあります。

    自然とともに生活し、手づくりがベースの暮らしは、ちょっと不便かもしれません。でも、自分たちで育てた野菜を採って、そのまま味わう体験は、腸内細菌にとっても最高! 食育にもなり、子どもの好ききらいなど、食の悩みも解決しました。

    子どもだけがたのしいことを無理に行うのではなく、大人と子どもが一緒にたのしめるのが、ポイントです。

    画像: 自宅の庭で花壇づくり。たくさんの虫があそびに来てくれるようにと、虫好きな息子と考えて、いろいろな花を植えました

    自宅の庭で花壇づくり。たくさんの虫があそびに来てくれるようにと、虫好きな息子と考えて、いろいろな花を植えました

    昼は菌にふれあうあそびを満喫します

    最近は、「菌活」をキーワードにした外あそびと実践的な活動を「からすやま子育ちの会」で行っています。畑仕事や餅つきなど、子どもも大人もからだをいっぱい動かし、収穫したものはその場で調理します。

    健康を支える面で、自然は必要不可欠。自然の中にいると、どんどん想像力が生まれてきて、子どもたちとやりたいことがたくさん出てきます。都会暮らしでも、プランターで野菜や植物を育てるだけでも、「菌活」になりますよ。

    画像: 各家庭から味噌と野菜を持ち寄って、味噌汁づくり。味噌や野菜を通じて、菌を交換しています。からだに多種多様な菌をたっぷり摂り入れたくて考えました

    各家庭から味噌と野菜を持ち寄って、味噌汁づくり。味噌や野菜を通じて、菌を交換しています。からだに多種多様な菌をたっぷり摂り入れたくて考えました

    夜は一定の生活リズムで子どもも菌も安定します

    夕食や就寝時間も、なるべく一定にしています。リズムが安定していると、子どものきげんもいいんです。

    夜のお風呂タイムでは、皮膚の常在菌を守るために、石けんは控えめ。感染症の流行期などは多少対応を変えていますが、手洗いでも、除菌・殺菌よりも、常在菌が大切なので、「手を守っている神さま(微生物)がいなくなるからほどほどに」と伝えています。
     
    社会に振りまわされるのではなく、自分たちの暮らしを整えて生活することが、免疫力を維持する要です。いまのところ、子どもたちは感覚が鋭くおおらかで、元気。たまに体調を崩しても、1日で治りますよ。

    画像: この日の夕食は、味噌汁と雑穀ごはん、イワシの梅煮、キャベツのしょう油漬け、トマト、しょう油麹で食べる納豆。旬の魚を一物全体でいただきます。骨はありますが、よく噛んできれいに食べられるようになるうえ、箸の使い方も覚えるので、おすすめです

    この日の夕食は、味噌汁と雑穀ごはん、イワシの梅煮、キャベツのしょう油漬け、トマト、しょう油麹で食べる納豆。旬の魚を一物全体でいただきます。骨はありますが、よく噛んできれいに食べられるようになるうえ、箸の使い方も覚えるので、おすすめです

     

    本記事は『あかちゃんからのかぞくの医学』(クレヨンハウス)からの抜粋です


    画像: 本間さんちの暮らしをのぞく|あかちゃんからのかぞくの医学

    本間真二郎(ほんましんじろう)
    小児科医・微生物学者。2児の父。2001年より3年間、アメリカ国立衛生研究所(NIH)にて、ウイルス学、ワクチン学の研究に携わる。札幌医科大学新生児集中治療室(NICU)室長などを経て、栃木県那須烏山市へ移住。同市で医師として地域に密着した医療に携わりながら、農的生活を送っている。『天然生活』2021年6月号より、連載コラムを担当。


    本書は、小児科医であり、ワクチン開発にも詳しい著者による、ホームケア事典。注目の集まる「免疫」に重点を置いた本書は、従来の医学事典にはなかった、これからの時代の、まったく新しい子どもの医学大全となっています。



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