今回は、高知県・酒亭 どんこの豪快に盛り付けた土佐料理。ぜひ、ご賞味あれ。
(『天然生活』2015年6月号掲載)
高知の人気店「酒亭 どんこ」の、お酒に合う土佐流料理
「高知の人は、ほんとにお酒が好きやき。何かと理由をつけて集まり、飲んで食べてる」と、高知市の人気店「酒亭 どんこ」の女将・岩本あつ子さんは笑います。
高知では宴席のことを「おきゃく」と呼び、海や山の幸を味わい、盃を酌み交わす「おきゃく文化」が、いまもなお根付いているのです。
お正月や節句などのお祝い事のときは、五目寿司や押し寿司といった、酢を使った料理が食卓を彩ります。
今回、岩本さんにつくっていただいた五目寿司は、焼きさばを酢飯に混ぜるのがポイント。魚のうま味が酢飯にしみ込み、たけのこやふきといった旬の素材を引き立てます。また、県魚として親しまれているかつおも、「おきゃく」では欠かせません。
かつおは春から初夏にかけての初がつお、脂がのった秋の下りかつおと、一年に2回の旬があります。
「かつおのたたきは刺し身の厚さが大事。少なくとも1cm以上に切らないとおいしさが半減してしまいます」と岩本さん。食べ方は、ぽん酢に加えて、最近では塩で素材そのものの味を楽しむのが人気なのだそう。
そして、家庭でよくつくられている煮ものが「ぐる煮」です。「ぐる」とは仲間、一緒、集まりという意味の土佐弁。
「ごぼう、大根などの根菜をたっぷり集めた煮ものということなんでしょうね。味は、おでんの手軽版に近いかな」
どの料理も大皿で豪快に盛りつけるのが土佐流です。豊かな土地の恵みとお酒で過ごす、にぎやかで温かい集いが今日も高知のいたるところで行われているはずです。
「酒亭 どんこ」の土佐料理のつくり方
五目寿司
材料とつくり方(4~5人分)
1 水でもどした干ししいたけ3枚、ゆでたふき3本、こんにゃく1/2枚、たけのこの水煮1/4本、にんじん1/2本は、すべてみじん切りにする。ごぼう1/2本はささがきにして水にさらしてざるにあげる。
2 鍋にふき以外の1の具材を入れる。砂糖大さじ2と1/2、だししょうゆ100mLを加え、干ししいたけのもどし汁をひたひたに注ぎ、中火で煮る。全体に火がとおったら1のふきを入れ、汁けがなくなるまで煮る。具材をざるにあげ、水けをきる。
3 錦糸玉子をつくる。卵3個を溶く。油少々をひいたフライパンに、お玉1杯分の溶き卵を流し入れ、弱火で焼き、上下を返す。これを繰り返し、薄焼き玉子を6枚ほどつくり、せん切りにする。
4 さばの半身1枚を焼き、皮と骨を取り除き身をほぐす。
5 炊いたごはん5合に合わせた酢90mL、砂糖65g、塩1.5g、ゆずのしぼり汁1滴を入れ、しゃもじで混ぜる。
6 5に2の具材を加えて混ぜ、皿に盛る。適量の白ごまと、3をのせる。
かつおの塩たたき
材料とつくり方(2~3人分)
1 薬味をつくる。青ねぎ1束は小口切りに、にんにく1片は芯を取り、薄切りにする。みょうが3個は、薄切りにする。
2 刺し身用のかつお1さくは、串に刺し、ガスコンロでじか火で焼く。背側にこんがりと焼き色がついたら、腹側を焼き、色が変わる程度に軽く焼く。
3 2の腹側に塩適量をふり、約1cm厚に切り、器に盛る。1、しそ適量を添える。薬味とともに、かつおをいただく。
ぐる煮
材料とつくり方(3~4人分)
1 皮をむいた大根10cm、皮をむいたにんじん1/2本、たけのこの水煮10cm、こんにゃく1/2枚、とりもも肉100gは、2cm角に切る。ごぼう1本は乱切りにして水にさらしてざるにあげておく。
2 鍋に水400mLと昆布20cmを入れて火にかけ、沸騰したら中火で2~3分煮たあとに昆布を取り出す。
3 2にとり肉、ごぼう、だいこん、こんにゃく、にんじん、たけのこを、順に入れ、火がとおったら、みりん大さじ2、薄口しょうゆ大さじ2を入れる。塩少々で調味する。
酒亭 どんこ
高知県高知市はりまや町2-1-21
088-875-2424
11:30~売り切れ次第終了、17:30~23:00
〈撮影/河上展儀 取材・文/梅崎なつこ〉
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです