今回は、愛知県・末廣寿司のもろこ寿司。ぜひ、ご賞味あれ。
(『天然生活』2015年6月号掲載)
愛知で古くから伝わる魚「もろこ」を使った押し寿司
昔は、お祝い事があると、おばあちゃんがよくつくってくれました。このあたりではなじみ深い料理です」と、末廣寿司店主・野口佳男さんが供してくれたのが「もろこ寿司」。
これは、愛知県北西部の津島市や愛西市などで古くから伝わる淡水魚「もろこ」を使った押し寿司です。
かつてはどこの家庭にもあったという、もろこ寿司専用の木型に酢飯を敷きつめ、上に甘露煮にしたもろこを並べます。ふたでぎゅっと押した状態で約3時間おくと、もろこの香ばしさと内臓のほろ苦さが広がるお寿司ができ上がり。もろこは高価な小魚なので、家庭では量を抑えて、錦糸玉子、きゅうり、かまぼこなどを並べて押し寿司にすることが多いとか。
「最近では、もろこ寿司を知らない子が多いんです。伝統的な家庭料理を残すため、店で出すようにしました。昔ながらの味わいを楽しんでほしいですね」
もろこ寿司のつくり方
材料とつくり方(3~4人分)
1 鍋にたまりじょうゆ(またはしょうゆ)400mLを入れ中火にかけ、沸騰する直前にザラメ糖200gを入れて溶かす。そのあと、しょうがのみじん切り1片分、酒200mLを入れる。
2 1の鍋に、もろこ(またはふなの子など)200gを3~4回に分けて入れ、緑茶少々をまわし入れて臭みを取る。落としぶたをして弱火で約1時間煮る。汁けがなくなったら火を止め、粗熱を取る。
3 酢飯をつくる。酢150mL、砂糖150g、塩少々を混ぜ合わせておき、炊きたてのごはん4合分にまわし入れ、しゃもじで全体を混ぜ合わせる。
4 もろこ寿司の型(縦12cm×横18cm×高さ5cm)にラップを敷いて、3を型の八分目まで入れる。その上に2を重ならないように並べ、ふたをして約3時間おく。
5 型からもろこ寿司を取り出し、食べやすい大きさに切り、皿に盛る。
末廣寿司
愛知県津島市本町1-66
0567-26-2790
11:30~14:00、17:00~21:30
火曜休
〈撮影/和田真典 取材・文/梅崎なつこ〉
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです