(『くりかえし料理』より)
飛田家の「豚の角煮」を忠実に再現
今回紹介する、豚の角煮は、最近よくつくる料理。
以前はかたまり肉を四角く切ってから、煮ていましたが、肉によっては縮みがあり、何度も肉が小さくなってしまい、角煮らしいごちそう感が出ずにいました。
ある日、下茹でのとき、かたまりのまま煮て、肉の大きさが決まったところで切り分け、味付けをしてみると、迫力のある角煮になりました。
偶然の産物でもありますが、今はこのレシピが気に入っています。
いままで、たくさんのレシピ本をつくってきましたが、 『くりかえし料理』には、「この素材がない場合は、こうしてください」、という代案が書いてありません。
大事にしたのは、すべての料理について、わが家の味を忠実に再現し、分量、つくり方を記したこと。自著のなかに、そのような本が、一冊くらいは、あってよいと思ったからです。
なかには、なじみのない食材や、調味料があったり、一度につくる量としては多いのでは、というものもあるかもしれません。
そのような意図、理由あってのことだから、ご容赦いただきたいと思います。
ずっと大切にしているレシピもあれば、少しずつアレンジしていく料理もある。
暮らしの変化で料理もかわっていきますね。いずれにしても、「おいしい」があればいいと思っています。
【実演】飛田和緒さん『くりかえし料理』から、豚の角煮と煮玉子のつくり方
【レシピ】豚の角煮と煮玉子のつくり方
材料(つくりやすい分量)
● 豚バラかたまり肉 | 700g |
● ゆで玉子 | 4個 |
● しょうが(皮ごと薄切り) | 2片分 |
● にんにく(潰す) | 2片 |
● 酒 | 1カップ |
● 酢 | 大さじ2 |
● 砂糖 | 大さじ2と1/2 |
● しょうゆ | 大さじ3 |
● ほうれん草(ゆでる) | 1袋分 |
つくり方
1 豚肉は大きければ鍋に入る長さに切る。脂の面を下にして鍋に入れ、中火で焼く。脂が出てきたらペーパータオルで吸い取り、こんがり色づくまで焼く。
2 しょうが、にんにく、酒、酢、砂糖、かぶるくらいの水を加え中火にかける。煮立ったら弱めの中火にし、落とし蓋、鍋の蓋をして2時間煮る。途中、煮汁が少なくなったら、かぶるくらいまで水を足す。
3 鍋に入れたまま、完全に冷めるまでひと晩おく。白く固まった表面の脂は取り除く。
4 豚肉を煮汁から取り出し、約5cm角に切る。
5 4を3の煮汁に戻し入れ、中火にかける。煮立ったらしょうゆを加えて中火にし、蓋をせずに煮詰めながら味を含ませる。
6 途中、ゆで玉子を加えて煮汁を全体に絡める。器に盛り、食べやすく切ったほうれん草を添える。
※ 本記事は、『くりかえし料理』(扶桑社)からの抜粋です
〈撮影/川村 隆 スタイリング/久保原惠理 原稿整理/福山雅美〉
飛田和緒(ひだ・かずお)
1964年、東京都生まれ。高校3年間を長野で過ごし、山の幸や保存食のおいしさに開眼する。現在は神奈川県の海辺の魚がおいしい町で、夫と娘との3人で暮らす。毎日無理なく続けられる、作りやすい食材を使った、シンプルでおいしい料理が人気。著書に、『常備菜』(主婦と生活社)、『飛田和緒さんのかぞくごはん』(小学館)、『飛田和緒の郷土汁』(世界文化社)、『いちばんおいしい野菜の食べ方』(オレンジページ)、『くりかえし料理』(扶桑社)など多数。
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