• 穏やかな薬膳「気血(きけつ)ごはん」は、生薬などとは違い「継続できること」が大切。まずはどん底に疲れた状態でもつくれる手軽な料理で、「血」と「気」の貯金を蓄えましょう。東京・青山の「源保堂鍼灸院」で、東洋医学に基づいた食養生のアドバイスを行う、国際中医薬膳師の瀬戸佳子さんに、おすすめのかんたんレシピを教えていただきました。
    (『お手軽気血ごはん』より)

    どん底に疲れた状態でもつくれる料理を考えて

    画像: どん底に疲れた状態でもつくれる料理を考えて

    本格的な薬膳の食材リストを見たことがある方は、

    「自分には、こんな食材を使いこなすのはとても無理……!」

    「メニューを考えられない!」

    と思いませんでしたか。

    それは当たり前です。そもそも気血両虚(きけつりょうきょ)の人は、エネルギー不足の状態ですし、「考えがまとまらない」「ものごとの優先順位がなかなか決められない」というのが、典型的な症状。

    自分の体力と気力を鑑(かんが)みて、実行可能なことだけする、そしてできるだけ気力・体力を温存するということが、と~っても大切なのです。

    一生懸命晩ごはんをつくったのに、できたころには食べる気力も体力もないというのでは、元も子もありません。

    中国の古い文献に登場する薬膳レシピは、位の高い人の体調管理のために考えられたもの。現代人がそのまままねするのは、難しいです。

    気血ごはんで大切なことは、「継続できること」です。食事でとる食材は生薬とは違い、効能は穏やか。

    だから「1回食べたから大丈夫」というものはほとんどないですし、たまに「薬膳カフェ」でランチを食べるくらいでは、なかなか体質改善にはつながりません。

    つまり「いちばん疲れた状態でも、これならできる」という方法は何かを、普段から考えておくことが大切なのです。

    料理は思っている以上に気力と体力を使うもの。ここで紹介するレシピは、薬膳的にも料理の見栄え的にも、満点をとれるものではありませんが、まずは手軽な料理で気血を補い、胃腸をいたわり、気血の貯金を蓄えましょう。

    そうして元気が出てきたら、立派な料理をつくっていくようにしてください。

    買い物して料理をつくり、かたづけしたあと、「おいしかった」「明日も頑張ろう!」と前向きな気持ちになれないなら、積極的に手抜きを考えて。

    ◇ ◇ ◇

    お手軽気血ごはん スープ
    豚肉とキャベツのロールキャベツ風

    スープジャーを使って、らくらく保温調理。胃を元気にしてくれるキャベツと、消化を促すトマト。昼もしっかり食べたい日におすすめです。

    画像: お手軽気血ごはん スープ 豚肉とキャベツのロールキャベツ風

    材料(1人分)

    ● A
    ・豚ひき肉80g
    ・片栗粉小さじ1/2
    ・塩ひとつまみ
    ● ケチャップ小さじ1
    ● B
    ・キャベツ(食べやすく切る)1枚
    ・ミニトマト(へたを取る)2個
    ・干ししいたけ(食べやすく割る)小1枚
    ・しょうゆ小さじ1

    つくり方

     スープジャーは熱湯をいっぱいまで注ぎ入れ、温めておく。

     ボウルにAを入れ、混ぜ合わせる。

     小鍋に水150mLを入れて火にかけ、煮立ったらをスプーンで丸めて入れる。表面の色が変わったらBを入れ、2分ほど煮立たせる。

     スープジャーの熱湯を捨て、を注ぎ入れ、ケチャップをのせてふたをする。3時間後くらいが食べごろ。

    キャベツは胃腸がもやっとするときに、たくさん食べるとすっきりします。胃腸薬「キャベジン」はキャベツが語源です。

    お手軽気血ごはん 卵料理
    みそ汁の卵落とし

    玉ねぎ、ほうれん草、にんじん、小松菜など手もとにある野菜類をお好みで加えても。

    画像: お手軽気血ごはん 卵料理 みそ汁の卵落とし

    材料(2人分)

    ● 卵2個
    ● キャベツ(食べやすく切る)2枚
    ● 粉末だし1/2包
    ● みそ大さじ2

    つくり方

     鍋に水 400mLとだしを入れて火にかけ、煮立ったらキャベツを入れ、やわらかくなるまで煮る。

     みそを溶き入れて卵を割り入れ、ふたをして3分煮る。

    卵黄には血液を補い、体を潤してくれる役割が、卵白には熱を冷まし、喉の痛みや目の充血などを解消する役割があります。

     

    当記事は『お手軽気血ごはん』(文化出版局)からの抜粋です



    〈調理・撮影/瀬戸佳子 イラスト/あおむろひろゆき〉

    画像: つくり方

    瀬戸佳子(せと・よしこ)
    国際中医薬膳師。登録販売者。早稲田大学理工学部卒、同大学院理工学研究科修了。北京中医薬大学日本校(現・日本中医学院)薬膳科卒業。会社員を経て、東京・青山の「源保堂鍼灸院」にて、「簡単、おいしい、体によい」をモットーに、東洋医学に基づいた食養生のアドバイス、レシピ提案を行う。鍼灸院併設の薬戸金堂で、漢方相談も行っている。著書に、『1週間で必ず体がラクになる お手軽気血ごはん』(文化出版局)がある。
    源保堂鍼灸院・薬戸金堂
    https://genpoudou.com/

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    『1週間で必ず体がラクになる お手軽気血ごはん』(瀬戸 佳子・著)

    『1週間で必ず体がラクになる お手軽気血ごはん』(瀬戸 佳子・著)

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    大きな病気をしているわけじゃないのに、いつも体調がイマイチ。
    そして、新しい何かを始めるのがおっくうで、いつもクヨクヨ思い悩む性格。
    その原因、実は「気」と「血」が足りていないからかもしれません。
    現代女性の大半に、漢方で言うところの「気」と「血」が不足している「気血両虚」の状態に陥っている人が多いと言われています。

    この本で紹介する「気血ごはん」を実践すれば、じわじわと効いてくる、確かな手応えを嬉しく感じるはずです。



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