人慣れしていない元野犬、臆病な保護犬「アビー」を迎えるまで
イラストレーターのオカタオカです
はじめまして。イラストレーターのオカタオカと申します。
都内に妻と元保護犬のアビー♀(推定4歳)と暮らしています。
アビーはもともと半年近く茨城県動物指導センターに収容されていましたが、そこから足立区の保護ボランティアを経て我が家にやってきました。家族の一員になっておよそ9ヶ月になります。
今回はアビーが我が家へやってきた経緯などをお話ししようと思います。
里親募集サイトで見かけた、不安げな表情の犬
僕は物心ついた時から動物、特に犬が好きでよく絵のモチーフにさせてもらっているのですが、実家で犬を飼っていたこともあり、またいつの日か一緒に暮らしたいと思っていました。
一昨年やっとペット可物件に引越したはいいものの、仕事や展示で東京と地元の南九州を行き来する機会が増え、家を開けることが多くなってしまいました。
そのような状況で犬を迎えるのはやはり無責任と考え、飼いたい気持ちをぐっと堪えながらとりあえず里親募集サイトを眺める日々が続きます。
そうこうしているうちに世の中はコロナ一色となり、自ずと南九州へ行く機会もなくなりました。
自粛生活にも慣れ始めた頃、いつものように里親募集サイトを眺めていると不安そうな表情をしたテリア風の子に目が止まりました。それがアビーとの出会いでした。
ネガティブワードからはじまったアビーとの出会い
犬や猫を迎えたときの記事などを読むと、初めて見た瞬間にこの子だ! と運命を感じたという表現をよく目にしますが、僕の場合は、もしかしたらこの子かも? くらいのテンションでした。
妻もアビーが気になるということだったので、まずは会ってみようと面会の申し込みをすることに。
今思い返すと、きっとこの子だ! と思いたかったけれど、記載されていた元野犬/人馴れしていない/臆病などといったネガティブワードがそうさせてくれなかったのかもしれません。
初めて会ったアビーは部屋の隅でブルブルと小さく震えていました。
「はじめまして」とアビーに優しく触れるとビクッ! と身体を大きく震わせ、これは思っていた以上に大変そうだなというのが正直な印象でした。
実際に会ってみてこの子だ! となるどころか、本当にこの子なのだろうか……果たして自分たちの手に負えるのだろうか、心を開いてくれるのだろうか……そういったネガティブなことばかりが頭を廻り、僕たちは完全に自信を喪失してしまったのです。
1週間後の再会
自信をすっかりなくしてしまった僕らを察したのか、数日後にボランティアさんからもう一度会いに来ますか? との連絡をもらい、1週間後再び会いに行くことに。
すると初めて会ったときのような小刻みな震えはなくなっていて、触れてもビクッ! としなかったのです。
このわずか1週間でのアビーの成長がそれまでの不安を一気に拭い、我が家へ迎えるまでの後押しとなりました。
けれどただその勢いだけでアビーを迎えたのは、思い返せば少々浅はかな決断だったのかもしれません。
やはり少しでも不安や自信のなさがあれば迎えたいという気持ちを抑えて、他の子を検討するというほうが、犬にとっても人間にとってもリスクが少ないと思うのです。
アビーが我が家へやってきて少しずつ心を開いてくれたからよかったものの、それはあくまで結果論。
こうやってなんだかわかったような口を聞いていますが、恥ずかしながら僕は実際に経験して初めてわかったことでした。
そんなの当たり前のことでしょう! とお叱りの言葉が飛んできそうですが、何もわかっていなかった僕がアビーを迎えて一喜一憂する様子をこれからみなさんにお伝えしていければと思います。
こちらをお読みいただいている方の中にもいつか保護犬を迎えたいと思っている方もいらっしゃると思いますので、僕の経験が少しでも参考になればと思います。
それではお付き合いどうぞよろしくお願いいたします。
オカタオカ
犬と車が好きなイラストレーター。宮崎生まれ、鹿児島育ち。現在は東京都在住。桑沢デザイン研究所卒業。雑誌や書籍などを中心にイラストレーションを手がける。バンド“すばらしか”の加藤寛之とのポッドキャスト番組『クルマのふたり』も配信中。
インスタグラム:
@okataoka(イラストレーション) @abbie_in_the_life(保護犬日記)
犬を飼いたいと思ったときに、ペットショップで「買う」だけでなく、保護犬を「迎える」という選択肢もあるということを広く伝えたい。そんな思いから生まれた1冊です。
保護犬を実際に迎え入れた方々の、ありのままの暮らしを楽しく伝えることで、保護犬たちの魅力を伝えるとともに、少しでも保護犬を迎えるきっかけとなればと願っています。