(『袋栽培でかんたん野菜づくり』より)
次々と実がつき長い期間収穫できる「ナス」
ナスはナス科に属し、古くから栽培され、地方ごとに特有の品種がつくられてきました。
ナスの場合も、ミニトマトのように茎における実のつく位置は規則的で、葉が2枚出るごとに花が形成されて実ができてきます。
株は大きく生長すると次々と実をつけていくので、2番目の実ができてからは、小さいうちに収穫する方が、より多くのナスの実がなります。
晴れた日にはたっぷり水やりをして、生長してきた実は、どんどん収穫します。
種まき・植えつけ
ナスは、ポリポットに種をまいて苗を育ててから袋に植えつけて栽培します。
種をまく時期が過ぎてしまった場合や保温して育苗することが難しい場合には、購入した苗を植えつけるのがおすすめです。
ポリポットで種まきから始めて育苗する場合、苗の葉が5枚以上展開して育ってきたら、苗の植えつけをします。この時、1袋につき1本の苗を、深植えにならないようにして植えつけます。

DATA
連作
3年やすむ
発芽適温
25~30℃
生育適温
・昼間23~28℃
・夜間13~18℃
適切な袋の容量
30リットル
袋の適した置き方
縦向き
栽培管理と収穫

支柱を立てる
植えつけをしたナスは、5月下旬頃から1番花が咲き始めます。この頃までには、支柱立てをします。
6~7月は、次々と花を咲かせて大きく生長。ナスは肥料をたくさん吸収するので、肥料は切らさないように十分に与えます。
袋栽培では主茎と、1番花のすぐ下の側枝とその下の側枝の計3本の枝を残します。
収穫には剪定ばさみを使います。生長した株は、枝の生長とともに実も次々につけて大きくなります。
1番目の実をいつまでも枝につけたままにしておくと、枝の方に栄養分がいかなくなり、その後の株の勢いが衰えるので気をつけます。

更新剪定
暑さによって株の勢いが弱ってくる8月上旬頃、収穫をやすみ、新しい枝を出すために、上の絵のように思い切って枝を切り落とします(更新剪定)。
枝を切り落として剪定した後、有機配合肥料などを1袋あたり約30g与えて、樹勢の回復をはかり、9月から秋ナスを収穫します。
本記事は『袋栽培でかんたん野菜づくり』(秀和システム)からの抜粋です
梁川 正(やながわ ただし)
農学博士。京都教育大学名誉教授。京都教育大学環境教育実践センターにおいて、野菜や花卉、イネ等の栽培指導や、栽培植物の残渣を堆肥として利用する「食の循環の教育」の指導を行う。研究面では、球根花卉やラン等の組織培養によるウイルスフリー化や無菌培養の簡便化に関する研究を推進。退職後は、各種公開講座や園芸大学等で、袋栽培で野菜や花卉を育てる方法やその楽しさ、容器等で簡便に育てる活動の普及に努めている。