(『天然生活』2021年7月号掲載)
飛田家では、1年中「氷砂糖」を常備
その見た目から「甘い宝石」とたとえられる氷砂糖。
氷砂糖というと梅シロップや梅酒など、梅仕事を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
「これからの時季、梅仕事もいいけれど、それにしか使わないなんてもったいない」と飛田和緒さんはいいます。
「漬物や煮ものなど甘味をじっくり入れたいときにも氷砂糖をよく使っています。思い立ったときにすぐ使えるよう、わが家では一年中氷砂糖を常備しているんです」
手軽につくれる果実酢で夏の体を
氷砂糖の活用におすすめなのが、氷砂糖と果物、酢でつくる果実酢だといいます。
「梅シロップや梅酒はある程度たくさんつくることが多いと思いますが、果実酢はお好みの量、少量でもつくれるのがいいところです」
氷砂糖、果物、酢はすべて同量。この割合さえ覚えておけば果物は基本的には好みのものでよいそう。
今回、教えてもらったのはパイナップルの果実酢ですが、余った果物を数種、組み合わせるのもおすすめとのこと。
でき上がった果実酢はほんのり色づき見た目も涼やか。また、1週間ほどたって氷砂糖が完全に溶けたらでき上がりという手軽さもうれしいばかりです。
「割合はすべて同量ですが、お好みで氷砂糖を足したり酢を足したりしてみてください。果物によって味わいが変わるので、お好みの果実酢をつくってみてくださいね」
また、果実酢はドリンクが定番ですが、料理にも活用できるそう。
「手軽に使うならばドレッシングがおすすめですが、肉を煮たり、から揚げの下味に使ったりするのもいいですよ。半年ほど保存できますが、わが家ではあっという間になくなってしまいます」
本格的な暑さを迎えるこれからの時季、疲労回復や食欲増進にも期待ができる果実酢で夏に負けない体をつくりましょう。
果実酢のつくり方
基本は1:1:1
パイナップルの果実酢のつくり方
どの果物でもつくり方は同じです。好きな果物と、氷砂糖、好みの酢を1:1:1で合わせるだけ。今回は、パイナップルの果実酢のつくり方をご紹介します。
材料と分量(びんの大きさに合わせてつくりやすい分量)
果物 1
パイナップル 100g
氷砂糖 1
100g
酢 1
100mL(今回は穀物酢を使用)
つくり方
1 パイナップルは葉と芯、皮を切り落とし、びんの口の大きさに合わせて切る(カットフルーツを使ってもよい)。
2 煮沸消毒したびんに、氷砂糖、果物を交互に入れる。なるべくすき間ができないよう押し込んでいく。
3 酢を注ぐ。びんいっぱいになるよう、酢の量は適宜(150mLまでで)調整する。冷暗所におき、1日1回軽く振る。氷砂糖が溶けたら冷蔵保存。
注意事項・保存期間
*ふたも含めて煮沸消毒した清潔なびんを使用する。
*保存期間は冷蔵で約6カ月。ただし、1カ月以上保存する場合は果物は取り出すこと。
果実酢の楽しみ方
① 割って飲む
シンプルに味わうなら、まずはドリンクで。炭酸割りのほか牛乳割りもおいしい。
② 料理に使う
甘味と酸味、フルーツの風味を生かして調味料として活用。漬けた果物も一緒に使います。
果実酢ドレッシングを使った
ホタテのカルパッチョとグリーンサラダのつくり方
パイナップルの風味と穏やかな酸味がサラダやカルパッチョによく合います
材料とつくり方(好みの分量)
1 ホタテ貝柱(刺し身用)適量は横薄切りにし広げるように皿に盛る。
2 ミニトマト3~4個は縦4つ切りにしてホタテの上に散らす。グリーンリーフは洗って水けをしっかりきり、別の皿に盛る。
3 粗塩少々をそれぞれの全体にふり、果実酢ドレッシング(つくり方は下記参照)適量をかける。
パイナップル果実酢ドレッシングのつくり方
漬けたパイナップルも加えるのがポイント。ほかの果実酢でつくってもおいしい
材料とつくり方(つくりやすい分量)
1 果実酢のパイナップル適量を取り出して細かくきざむ。
2 小さめのボウルに果実酢とオリーブオイルを1:2の割合で入れ、きざんだパイナップル、粗びき黒こしょう適量を加えてよく混ぜる。
氷砂糖の話
Q 氷砂糖と砂糖の違いは?
A 製法と純度が違います。
氷砂糖はグラニュー糖を溶かして精製・ろ過したものを加熱し、結晶化させたもの。砂糖のなかで最も純度が高いのが特長です。砂糖よりもゆっくり溶けるため、果実のエキスをより引き出し、溶け残りもありません。
Q 氷砂糖の賞味期限はどれくらいですか?
A 賞味期限はありません。
賞味期限はありませんが、香りの強いものの近くや湿気が高い場所は避けて常温保存しましょう。長期保存ができるため、非常時の備えにも。暑さに強いので、万が一のときのために車にひと袋入れておくのもいいですね。
Q 果実酢以外の使い道は?
A 漬物や料理におすすめです。
飛田さんは白菜漬けや大根漬けなど、じっくり漬けたいときに氷砂糖を使うそう。また、煮ものをつくるときにもおすすめ。ほかの砂糖と同じように使うことができ、すっきりした甘さで料理を上品な味に仕上げてくれます。
◇ ◇ ◇
飛田和緒(ひだ・かずを)
料理家。家族のためにつくる素朴だけれど、とびきりおいしい料理を提案している。『くりかえし料理』のほか、新著『おとなになってはみたけれど』(ともに扶桑社)がこの春に刊行された。夫と高校生の娘の3人暮らし。
もっと氷砂糖のレシピが知りたい人は
詳しい情報はこちらから▶ 旬の果実でおいしく楽しい氷砂糖
協力/全日本氷糖工業組合
http://www.hyoutou-kumiai.jp/
〈料理/飛田和緒 撮影/山川修一 取材・文/結城 歩 スタイリング/久保原恵理〉