(『天然生活』2012年7月号掲載)
自然を尊び感謝を捧げる日本の年中行事
房子さんが続けている行事は、七夕のときだけに限りませんでした。一年を通して、季節の変わり目を喜び、つつがなく日々を過ごせるようにと祈る、さまざまな年中行事を大切にしているのです。
「日本には四季がある。山の木々は冬には葉っぱがなくなって、春になったら芽が出て花が咲き、秋になったら葉っぱが黄色くなって、また落っこちて。そういう自然の営みはすごいと思うし、ありがたいことだと思うね~」
年中行事は、そんな春夏秋冬の移ろいを感じ、自分をとり巻くさまざまな物事に感謝できる大切な習慣なのだと房子さんはいい、こんなことで幸せを感じる私って素朴なのね~、と笑います。
「よく考えれば、私から素朴を取れば何にもない。いらないのよ、便利な道具とか、おしゃれな服とか。縁側に座れば富士山が見えるし、枕元からはお月さんも見える。町に行くより、ずっと楽しいね」
房子さんの年中行事
1月
七草
7日に春の七草を近くの土手で摘んできて、おかゆにしていただく。
どんどん焼き
お正月飾りを焼く。
餅花
小正月に、しだれ柳の木に餅の団子を付けて飾る。
2月
節分
いわしと柊の葉を玄関に飾り、豆を炒って食べる。
4月
桃の節句
山梨では、おひな祭りを4/3に行う。房子さんのお宅では享保びなを飾る。
5月
端午の節句
お餅をつき、柏の木から葉っぱをとって柏餅をつくる。
7月
七夕
笹竹に“七夕さん”を飾る。
9月
十五夜
手づくりのお餅を15個並べて縁側に飾り、月を見ながら食べる。
10月
村祭り
一年の無事を祝う村祭りに参加。
11月
十三夜
縁側に机を出してススキの葉や畑でとれた野菜などを飾って食べる。このとき、お餅は13個並べる。
12月
大晦日
おせち料理をつくり、年越しそばをいただく。
さて、食卓には、お昼の支度が整いました。
お赤飯、いろいろな味噌をつけるこんにゃく、煮豆、梅干し、野菜の煮もの……。これ全部、房子さんとお嫁さんたちの手づくり。堀川さんも大感激です。
「房子さんの感受性の豊かさは、本当に素晴らしい。四季の行事を大切にして、自然に感謝しているその姿勢を、私も少しでも見習わなくてはと、強く思いました」
房子さん直伝 自家製甘酒
甘酒は本来、夏に飲むもの。飲む点滴といわれるほど栄養が。
材料とつくり方
米3合をおかゆにして炊く。
米麴約730gを混ぜる。
おかゆの鍋を60℃(酵母が働く温度)に保ち5~10時間おく(タオルや新聞紙などにくるみ、暖かい場所に置くとよい)。
〈撮影/三村健二 構成・文/鈴木麻子(fika)〉
堀川 波(ほりかわ・なみ)
1971年大阪生まれ。イラストレーター、手工芸作家。
著書に『籐で作るアクセサリーと小物』『籐で作るかごバッグ、かご雑貨』(ともに誠文堂新光社)ほか多数。 インスタグラムでは「#堀川波コーデイラスト」のハッシュタグで、イラストとともにコーディネートのアイデアを紹介している。
公式サイト:https://www.dottodot-works.com/
インスタグラム:@horikawa._.nami
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです