• ホテルで味わう名物スイーツと、おいしさの裏側にあるストーリーをお届け。今回は、丸の内・東京ステーションホテル「ロビーラウンジ」でいただける〈ホテルオリジナルフレンチトースト〉。特別な空間でゆったりひとり時間を楽しめるホテルでのひととき。宿泊はなかなかできなくても、お茶や息抜きに、甘いものを食べる時間って非日常を味わえますよね。自宅でホテルの味を楽しめる持ち帰り可能なお菓子もあわせて紹介します。

    生きる文化財、東京ステーションホテルの〈フレンチトースト〉

    国内で唯一、国指定重要文化財の中に宿泊できるという体験

    画像: 実は南に長く、左右非対称な東京駅舎外観。この中に位置する東京ステーションホテル

    実は南に長く、左右非対称な東京駅舎外観。この中に位置する東京ステーションホテル

    1915年に開業してから、100年以上の歴史を誇る「東京ステーションホテル」。

    第二次世界大戦による空襲で、駅舎は南北のドーム、3階などを失い、ホテルも休館を余儀なくされました。その後、2階建て八角屋根の駅舎として形を変え、ホテルもふたたび営業を再開。

    2003年には、東京駅丸の内駅舎が国の重要文化財に指定されたことを受け、次の100年へとつなげるために駅舎の保存・復原工事を行うことに。満を持して2012年にリニューアルオープン、創建当時と同じドーム屋根の姿がよみがえりました。

    リニューアル後には、以前の赤煉瓦づくりの印象から内装が一新され、瀟洒なヨーロピアンクラシックスタイルに。サービスもコンセプトも新しく、伝統のなかに現代性が付加され、ホテル自体のイメージも以前とは変わったと感じる方もいるのではないでしょうか。

    季節を感じられる〈フレンチトースト〉

    画像: 1915年のホテル開業の際には、ホテルエリアではなく列車の待合室だったという「ロビーラウンジ」

    1915年のホテル開業の際には、ホテルエリアではなく列車の待合室だったという「ロビーラウンジ」

    〈フレンチトースト〉がいただけるのは、正面玄関を入ってすぐ右手にある「ロビーラウンジ」。朝から夜まで豊富なメニューを楽しめる、自然光の美しいラウンジです。

    画像: ヴェネチア最古のガラスシャンデリアメーカー「バルビエ&トーゾ社」のシャンデリア

    ヴェネチア最古のガラスシャンデリアメーカー「バルビエ&トーゾ社」のシャンデリア

    イギリスのインテリアデザイン会社「リッチモンド インターナショナル」によるロビーラウンジの内装は、ホテルの新しいコンセプトカラーであるブルーを基調にしたデザイン。

    ビロード張りのソファも心地よく、ついついここが東京駅改札口の真横だということを忘れてしまいそうな空間です。

    画像: 「フレンチトースト」コーヒーまたは紅茶付きのセットで、3,500円(消費税・サービス料込み)

    「フレンチトースト」コーヒーまたは紅茶付きのセットで、3,500円(消費税・サービス料込み)

    運ばれてきた〈フレンチトースト〉は、なんとも色鮮やか。

    画像: 季節を感じられる〈フレンチトースト〉

    たっぷりのフルーツが美しく整列している様子は、それだけで目の保養になるようなビジュアルです。

    「マダガスカル産のバニラビーンズと、リニューアル後から使い続けているこだわりの卵を使用した液に1日漬けています。それからスチームオーブンで、ふわっと蒸しパンのように焼き上げるのが特徴。焼き上げる温度は、120度程度の低温で。表面はブリュレ調に焦がすことで、カリッとした食感と、中のふわふわ感とのコントラストを感じていただけます」(シェフパティシエ/瀧澤 一茂さん)

    画像: 白いクリーム状のエスプーマと、メープルバター

    白いクリーム状のエスプーマと、メープルバター

    プレートに添えられているのは、ガラスの器に入った「エスプーマ」。それにオーガニックのメープルシロップとバターを混ぜ合わせた「メープルバター」。

    フレンチトースト単体での味わいも楽しみつつ、これらをつけたり、フルーツを添えたり。一皿で食べ方は何通りにも広がります。

    素材ひとつひとつがしっかりとおいしくて、それぞれを味わっていたらあっという間に食べ終わってしまうようなボリューム感。見た目は都会的でありながら安心できる味わいで、ここにも伝統と現代性のバランスを感じさせられました。

    画像: 卵液がしっかり染み込んだ、美しい断面

    卵液がしっかり染み込んだ、美しい断面

    「季節に合わせて、旬のフルーツを取り入れたパフェやケーキなど、次々に新しいメニューを開発しています。お客さまにまた次も食べてみたいと思ってホテルに訪れていただけるよう、常に新しいものを提供できるよう心がけています。

    今回のフレンチトーストのパン生地は、ホテルが新大久保駅上で1週間行ったポップアップショップに出店した際に開発した新作。お客さまから好評だったので、実際にロビーラウンジのフレンチトーストに起用することになりました。『次は何が出るんですか?』と、お客さまに楽しみにしていただけるとこちらもうれしくなります」(瀧澤さん)

    なんと、すでにこの秋までのメニューが考えられているというからびっくり。

    東京の真ん中で、季節を味わえるという体験は、どんなお客さまにとっても変えられないものなのでしょう。

    駅舎に敬意を示したお菓子〈ロンデル〉

    画像: 「ロンデル」2個 250円(税込) 化粧箱入り6個 1,000円(税込)

    「ロンデル」2個 250円(税込) 化粧箱入り6個 1,000円(税込)

    2021年5月から発売となった、東京ステーションホテルの新名物〈ロンデル〉。

    米ぬかと米粉、それにカリッとした天日塩を使用した焼き菓子です。

    2層になっているのが特徴で、米ぬかを使ったサブレを半焼きにし、小麦粉とアーモンドプードルを使用した生地を流し込んで焼き上げるのだそう。

    いま、世の中がこのような状況にあるなかで、お客さまに少しでも健康的でおいしいものをつくろうという思いで開発に至ったと瀧澤さん。

    「東京駅舎の保存・復原工事の際に、免震補強のために使っていた “松杭(くい)” が抜かれました。関東大震災のときにも、これだけ立派な駅舎を木だけで支えていたのだと知って驚きました。当時の大工さんの技術や知恵、そして松杭に敬意を払うかたちで、どうにかメニューに反映できないかと考えた末に生まれたお菓子が〈ロンデル〉です。〈ロンデル〉というのは、“輪切り” という意味。松杭を輪切りにしたようなかたちにしたことから名付けました」(瀧澤さん)

    画像: 現在は、ロビーラウンジのみで購入可能
    現在は、ロビーラウンジのみで購入可能

    もっちりしっとりとした生地に、土台の役割を担うサブレ部分が重なることで噛むたびに食感に変化が生まれます。

    ロビーラウンジでコーヒーか紅茶を頼むと、お茶受けとしてロンデルがひとつついてくるんだとか。気に入った際には、手土産としてそのまま買って帰れるという、うれしい仕組みです。

    クレマチスの花言葉は “旅人の喜び”

    画像1: クレマチスの花言葉は “旅人の喜び”

    昭和20年の空襲により、東京駅舎は屋根と内部が焼失。ドームレリーフも炎で大半が焼け落ちてしまいました。わずかに残存していたレリーフや文献をもとにしながら復原工事が行われ、現在の姿に。

    ホテルの内装はヨーロピアンクラシックに一新しましたが、このドーム部分のレリーフには「豊臣秀吉の兜」や干支など、日本らしい意匠が多く見られるのが特徴です。

    画像2: クレマチスの花言葉は “旅人の喜び”

    そのうちのひとつ、ドームの天井部分を拡大すると現れるクレマチスのレリーフは東京ステーションホテルのロビーにも随所に散りばめられたモチーフ。「旅人の喜び」という花言葉は、発着列車本数日本一のこの場所に、まさにぴったりだと感じます。

    画像: ホテル床にもクレマチスのモチーフが見られる

    ホテル床にもクレマチスのモチーフが見られる

    東京駅という現実の世界の一部に位置する、東京ステーションホテルという理想郷のような世界。一歩足を踏み入れると特別な時間の流れる空間で、まずはおいしくて甘い時間を楽しみに訪れてみては。

    近い将来、このホテルを拠点に、今度は気ままな旅に出たい。贅沢にもそう思ってしまう素敵な場所でした。

    東京ステーションホテル
    東京都千代田区丸の内1-9-1

    ・JR線「東京駅」丸の内南口直結
    ・東京メトロ丸の内線「東京駅」徒歩約3分
    03-5220-1111(代表)

    東京ステーションホテル公式サイト

    ラウンジ 「ロビーラウンジ」
    03-5220-1260(10:00~18:00)
    8:00~20:00 (19:30 L.O.) 
    ※当面の間、短縮営業
    ※状況により、営業時間等が変更になる場合があります

    〈撮影/山川修一 取材・文/山下あい〉



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