• 台湾発の靴下ブランド「+10・テンモア」が皆さんを台湾への空想旅行へとお連れする「テンモア旅行社」。今回皆さんをご案内するのは、普段の観光旅行ではなかなか行かれないであろう、台湾の工場。とどまることのない好奇心を武器に、「+10・テンモア」のロケーション撮影は続きます。

    こんにちは、ナビゲーターの陳小爵(チェン・シャオジュエ)です。

    港町・基隆(きいるん)で生まれ育った私にとって魚とはとても身近な存在ですが、都会で暮らす人々のなかにはスーパーで切り身になった魚しか扱ったことがないような人もいるようです。

    人と魚との間の距離を埋めたいという想いから2019年の春夏シーズンに発表した「島の冷蔵庫シリーズ」では、さまざまな魚をモチーフにした靴下をつくりました。

    島国台湾で昔から暮らしている先住民のアミ族には「海から必要な分だけいただく」といった考え方が根付いています。私たちはそうして海から少しずつ分けてもらったもので生きているんですよね。

    そのシーズンのカタログ撮影を行ったのは、ピチピチ新鮮な魚たちを保存する「容器」の製造工場。台湾の工場は日本とまた雰囲気が違うと思いますよ(写真には撮れなかったけれど、なぜか必ずといっていいほど、犬がいるんです)。

    では、空想旅行へ出発しましょう!

    創業90年余の老舗「林田桶店」

    画像1: 創業90年余の老舗「林田桶店」
    画像2: 創業90年余の老舗「林田桶店」

    店いっぱいに並ぶ桶が印象的な、日本統治時代の1928年に創業した老舗。手づくりの桶店としては台北に残る最後の1軒で、大学のころから知っているお店です。

    商売のじゃまにならないよう、急いで撮影しました。お店はとても暗いんですが、この時にはちょうどきれいに光が差してくれたんですよ。

    画像3: 創業90年余の老舗「林田桶店」

    キラキラテープを入れたポリ袋を手から下げて、まるで魚が入っているように見えませんか?

    画像4: 創業90年余の老舗「林田桶店」

    林田桶店
    所在地:台北市中山區中山北路一段108號
    電話番号:02-2541-1354
    営業時間:11:00〜19:00
    定休日:土・日定休

    給水タンクの工場

    画像1: 給水タンクの工場

    台湾のアパートの屋上に必ずと言っていいほど置いてあるのが、給水タンク。旅行の際に見かけたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか? 台湾での生活になくてはならない、給水タンクの製造工場でも撮影させてもらいました。

    画像2: 給水タンクの工場

    交渉するときはドキドキするけど、この工場の責任者の方は年齢も私たちと同じくらいで「工場が昼休み(作業のじゃまにならないから)になる時間なら、いいよ」といってくださり、休憩中のはずのスタッフの皆さんも「もっと大きい給水タンクがあるけど、いる?」と運んできてくださって、とても親切でした。

    画像3: 給水タンクの工場
    画像4: 給水タンクの工場

    スタッフさんたちが「だれか有名人が撮影に来たのか?」と、揃ってスマートフォンで写真を撮っていたのがおもしろかったです。

    発泡スチロール工場

    画像1: 発泡スチロール工場

    台湾の魚屋さんは発泡スチロールの中に魚を入れていることが多いです。きっと日本もそうですよね? あまり環境にやさしい素材ではないけれど、魚屋さんたちはボロボロになるまでくり返し使っています

    画像2: 発泡スチロール工場
    画像3: 発泡スチロール工場

    それと、台湾には発泡スチロールの中に入って販売されている、昔ながらのアイスクリームもあるんですよ。私たちのおすすめは台南の「太陽牌冰品」という60年余の老舗。おすすめフレーバーは「草湖芋仔冰(タロイモアイス)」。テイクアウト用の発泡スチロールがとてもクラシックで素敵です。

    「+10・テンモア」を始めてからはすっかり使わなくなりましたが、私ももうひとりのメインデザイナーの許さんも、美術大学で舞台デザインを専攻していたころ、コストが安く、軽くて強度もあり、好きなように形をつくれる発泡スチロールは、なくてはならない素材のひとつでした。

    画像4: 発泡スチロール工場

    久しぶりにさまざまな形状の発泡スチロールを使っての撮影は楽しかったし、このときに購入した発泡スチロールは新作発表会の時のディスプレイに大活躍してくれました。

    段ボール工場

    画像1: 段ボール工場

    ところ変わって、こちらは段ボール工場。

    先ほどの発泡スチロールもこちらの段ボールも、撮影のために大量に購入して、その場で撮影させてもらっています。

    画像2: 段ボール工場
    画像3: 段ボール工場

    中身に何も入っていない段ボールは、崩れてしまうので中に椅子や梯子を詰め込んで、さらに後ろでスタッフが押さえています。

    「+10・テンモア」のロケーション撮影はスタッフ総出で行い、タイムキーパー、レフ板、車の手配など、すべて役割分担しています。毎回その場の状況を見ながら現場でつくり上げます。

    画像4: 段ボール工場

    モデルたちが手に持っているのはコーヒー牛乳とフルーツ牛乳。いまでは数少なくなってしまいましたが、昔ながらのジュース店は、ポリ袋に飲み物を入れて売っていたんですよ。そのままポリ袋にストローを刺して飲むんです。

    2019年の春夏シーズンで発表した「島の冷蔵庫シリーズ」は日本語版カタログもあります。ぜひご覧くださいね!



    画像5: 段ボール工場

    +10・テンモア

    2012年に台湾で設立された靴下ブランド。日本語で紹介された書籍に『+10 テンモア台湾うまれ、小さな靴下の大きな世界(トゥーヴァージンズ)』がある。2016年から毎年春夏には台湾に生息する海の生き物をモチーフにしたデザインを発表。4月15日に登場する2021年春夏の新作シリーズは『micro-』と題し、宇宙の中で孤独な物質はなく、アメリカの思想家ヘンリー・ソローが「野性の中に世界は保存される」と語っているとおり、すべてが関連していると説いている。

    日本語オフィシャルサイト
    https://www.10moresocks.com/?Culture=ja-jp

    日本からは通販サイト「Pinkoi」でも購入可能
    https://jp.pinkoi.com/store/10moresocks

     

    取材・文/近藤弥生子(こんどう・やえこ)
    2011年2月より台湾在住の編集・ライター。日本語・繁体字中国語でのコンテンツ制作を行う「草月藤編集有限公司」を主宰。台湾で妊娠・出産後に離婚し、シングルマザーとして6年間過ごしたのち、台湾人と再婚。現在2児の母。ブログ『心跳台湾』で台湾での暮らしを綴っている。初の著書『オードリー・タンの思考 IQよりも大切なこと』(ブックマン社)amazonで見る が発売になったばかり。
    http://www.yaephone.com/



    This article is a sponsored article by
    ''.