街がアートで飾られ、アーティストと出会える「街のアートウィーク」
5月の中旬からロックダウン規制もさらに緩和され、少しずつコッツウォルズの街や村も活気が出てきています。
ロンドンからコッツウォルズの小さな村、チャールブリーに引っ越して、まず、目についたのが、窓際に彫刻や置き物など、まるでアートギャラリーのように飾られている家が多いことでした。
アートが普段の暮らしの中に溶け込んで、通りを歩いている人たちの目も楽しませてくれています。実はこれは「チャールブリー アートウィーク」というイベントでした。昨年は新型コロナウイルスの流行で中止になりましたが今年は無事開催されたので、街のアートウィークとそこで出会った素敵なアーティストをご紹介したいと思います。
子育て真っ最中の日本人切り絵アーティストのみづえさん
まずは、広島出身の日本人切り絵アーティストのみづえさん。3人の小さなお子さんの子育て真っ最中のママです。
みづえさんとの出会いは、チャールブリーに引っ越してすぐのころ。聞こえてくる日本語にびっくりして、話しかけたのが、始まりでした。
そして、お互いの話しをして、さらに驚いたのは、なんと神戸の私の地元で幼稚園の先生をされていて、その幼稚園に通っていた友人の子を知っていたということ。「世界は狭い!」を実感する出来事でした。
そんなみづえさんですが、実は切り絵アーティスだったとアートウィークで知り、その独特なデザインの切り絵の魅力に引き込まれました。
切り絵を始めたのは、夫のベンさんとの日本での結婚式で飾りを自分でつくろうとしたのがきっかけでした。切り絵の本を見ながら切り絵をつくったといいますが、細かいけれど夢中になり、そこから、どんどん切り絵の世界に入っていったそうです。
はじめは本を参考にしていたのが、いまでは、すべてみづえさんご自身のデザインになっています。葉っぱやきのこなど自然をモチーフとした作品や、ネームプレートのほかに、オーダーメイドでも作品も製作しています。
現在は、子育て真っ最中のみづえさん、いつ作品づくりをしているのか聞いてみると、週末、夫のベンさんが3人のお子さんの面倒を見てくれている時間を、作品づくりにあてているとのことでした。
みづえさんは、この切り絵アートに没頭する時間があるから、子育てなども、がんばれると話してくれました。ベンさんも、この切り絵アートを、後押ししてくれているそうです。
アトリエをギャラリーとして開放しているデイビッドさん
アートウィーク中、自分のスタジオを開放しているアーティストもいます。そのひとりが、世界中を旅して、思い出を絵にしているデイビッドさん。
素敵なスタジオがギャラリーとなっていて、今年は主に、チャールブリー周辺や、コッツウォルズの風景画、旅行で気に入ったインドの街の様子などの絵が飾られていました。
どの作品も、観光名所などではなく、その土地の普段の暮らしの風景が描かれています。デイビッドさんの目を通して見るチャールブリーやコッツウォルズ、そしてインドも、とても新鮮に感じられます。
作品が展示されているスタジオは、アンティークのバスケットややかんなどもさりげなく飾られられた、とても素敵な空間でした。
デイビッドさんの話しも興味深く、インドへの思いなどを聞かせてくれるなか、夫がインド生まれということを話すと、さらに話しが弾みます。こういった会話もアートウィークの醍醐味です。
去年は、開催できなかったアートウィークでしたが、今年はとてもとくべつで贅沢な空間と時間となりました。
イギリスでは、美術館や博物館などもやっと再開されたところですが、アートは心の栄養だと、再認識したアートウィークでした。
私の次のお目当ては、オックスフォードにある博物館。古代のアートにどっぷり浸りに行きたいと計画中です。
<撮影・文/コヅエ ガーナー>
コヅエ・ガーナー
神戸市出身。イギリス・コッツウォルズ在住。ソフトファニシング・インテリア、風水インテリアデザイナー。2008年からMistyInteriorをスタートし、ロンドンを中心に活動している。