師匠の味、海外で体験した味を届ける
長時間冷蔵発酵で奥行のある味わいのパンを焼き上げる「ぶーるぶーるぶらんじぇり」。お店の人気パン「リュスティック」は、店主の草野武さんが、茨城の「パンダーチザンニコラ」(現在は閉店)の師匠から受け継いだレシピでつくり続けるもの。素朴でまろやか、まるで食パンのように毎日飽きずに食べられるパンです。
「『二コラ』を修業先に決めたのは、このパンがあったから。師匠である杉山洋春シェフの味を再現できるよう、進化させ続けていますね。通常よりパンチ(ガス抜き)を減らし、極力手を加えずつくった素朴なパンで、食べやすく、老若男女問わずおすすめできます。当店のパンの基本となっていて、『リュスティック』の生地からいろんなパンをつくることができるんです」
いただいてみると、皮はバリっとして、中はモチモチ。シンプルでやさしい味わいが心地よく、食べ飽きない、どんな料理にも合いそうなパンです。
お店の名前を冠した「ぶーる・ぶーる」は、パン好きの間でも評判のクロワッサン。草野さんがフランスで研修をしていた頃に出合ったクロワッサンを再現したもので、折り込みの数を通常より減らし、ザクザク感を強調しています。
工夫を凝らしたロスパン対策
天候などの関係でパンが売れ残ってしまうのは、パン屋さんにとって避けられない道。そんな廃棄せざるを得ないパンをできるだけなくそうと、「ぶーるぶーる」ではロスパン対策をしています。余剰のパンを「おまかせパンセット」というパンセットにして、配達のほかに通販サイト「rebake(リベイク)」で販売するというもの。
余剰パンがいつ出るかは予めわからないため、欲しい人は通販サイトで事前に予約しておくと、余剰が出たタイミングでパンセットを発送してもらえます。予約してから何日か待つことになりますが、その分安い価格でパンを買うことができるというメリットが。もちろん、好きなパン屋さんのロスを減らせるという喜びもあり、両者にとってとてもいい仕組みです。
「パン屋は飲食店よりはるかに原価率が高いうえに、見込み生産をしなければならない過酷な事業です。ロスはあらゆる飲食関係のなかでもとくにひどいので、なんとかしたいと思って。タイムサービスのような時間割引では不公平感があると思ったので、この形にしました」と草野さん。
師匠から引き継いだパンや、フランスで出合った味に触発されてつくったパンなど、思い出が詰まったパンを、愛情を持って焼き続ける「ぶーるぶーる」。そして、それをひとつ残らず誰かの手元に届けるために、最後まで変わらぬ愛情を注ぎます。想いの詰まったやさしいパンを、ぜひ味わってみてください。
<撮影/林 紘輝 取材・文/諸根文奈>
ぶーるぶーるぶらんじぇり
042-626-8806
10:00~19:00
月・火休み
東京都八王子市横山町16-5
最寄り駅:JR「八王子駅」
https://www.boule-beurre.com/index.html
https://www.instagram.com/boulebeurre2006/