1月5日から1月19日ごろの二十四節気七十二候
日本の“四季折々の自然の美しさ”や“伝統行事の楽しみ”を日々感じながら、心豊かに暮らすヒントを『神宮館高島暦』で長年にわたり主筆を務めた、暦法研究家・井上象英さんが伝えます。
1月5日 18時14分
二十四節気・小寒(しょうかん)
本格的な冬の到来を迎えます
小寒から節分までを寒の内と呼びます。
日の出る時間は少しずつ長くなりますが、寒さはまだまだ厳しい時期です。
1月7日に松飾りを取り払い、一年の健康を願う七草がゆをいただいたら、正月(松の内)は終わり。
日常の暮らしに戻ります。
小寒の期間の七十二候
1月5日から1月9日ごろ
小寒初候・ 芹乃栄[せりすなわちさかう]
七草の一つ、セリが川辺で盛んに伸び始めるころです。
中国の七十二候では、この小寒初候を「雁北郷[かりきたにむかう]」と表現し、“秋に来た雁が再び北に向かう”ということを言い表しました。
しかし、日本はまだ寒の内。
整列した雁が夕空に飛ぶ様子をみかけるのは、もう少し先かもしれません。
1月10日から1月14日ごろ
小寒次候・ 水泉動[しみずあたたかをふくむ]
まだまだ寒さ厳しくはありますが、大地の下では着々と春の芽吹きの準備が始まっています。
「水泉」とは地中より湧き出る泉のこと。
この候では、これまで凍っていた泉が土の温もりで溶け始めるころの様子を言い表しています。
1月15日から1月19日ごろ
小寒末候・ 雉始雊[きじはじめてなく]
日本の国鳥であるキジは古くは『古事記』の中にも登場し、その鳴き声で情報を伝える神の使いとされてきました。
そのキジにも恋の季節があります。
雄鳥が寒空に遠く響き渡るほどに、求愛の鳴き声を上げ始めるのがこのころといわれています。
◇ ◇ ◇
* 二十四節気
四季の移り変わりをわかりやすくするために一年を24等分したのが二十四節気。もともとは2000年以上前の、古代中国の天体観測からつくられた暦法です。二至(冬至と夏至)二分(春分と秋分)を軸として、その中間に四立(立春・立夏・立秋・立冬)がつくられており、その間をさらに前半と後半に区切ることで二十四節気と称しています。
* 七十二候
七十二候とは、二十四節気を気候の変化でさらに細分化したもの。ひとつの節気を「初候」「次候」「末候」という三つの“候”に区分。約5日という細かい期間を、草花や鳥、虫などの様子で情緒的に言い表しています。
◇ ◇ ◇
*本記事は『365日、暮らしのこよみ』(学研プラス)からの抜粋です。
*二十四節気、七十二候の日付は2022年の暦要項(国立天文台発表)などをもとにしたものです。日付は年によってかわることがあります。
<イラスト/山本祐布子 取材・文/野々瀬広美>
井上象英(いのうえ・しょうえい)
暦作家、暦法研究家、神道教師、東北福祉大学特任講師。100年以上の歴史を持ち、日本一の発行部数の『神宮館高島暦』の主筆を長年務め、現在は、企業・各種団体などで講演活動、神社暦や新聞雑誌等の執筆活動など、多方面で活躍。著書に『365日、暮らしのこよみ』(学研プラス)、『こよみが導く2021年井上象英の幸せをつかむ方法』(神宮館)など多数。
『神宮館高島暦』で長年にわたり主筆を務めた暦法研究家の井上象英さん。その知識は、神道学、九星気学、論語、易経、心理学にも及びます。この本は暦を軸に、日本の伝統行事や四季折々の自然の美しさや楽しみ方を誰にでもわかる、やさしい口調で語っています。1月1日から12月31日まで、日本の四季や文化伝統を日々感じながら、心豊かに暮らすヒントが満載です。