• オーガニックコットンの服づくりを中心に、衣食住すべてが気持ちよく循環する、NADELL・北村ヨナさんの京都暮らしにおじゃましました。今回は「伝統」への働きかけについて。
    (『天然生活』2021年3月号掲載)

    伝統 優れた技術を次世代に

    デッドストックの貴重な生地を工場から譲り受け、ナデルならではのデザインで現代に蘇らせています。また、国内の工場がもつ高い技術力を生かし、素材そのものから一緒に開発することも。ヨナさんにとって、生地はとても大切なもの。小さなはぎれもけっしてむだにせず、工場から回収して、別のアイテムに生かします。

    ナデルでは半世紀以上前のデッドストックの生地を活用し、先人が残した素晴らしい仕事を、いまを生きる女性たちへと手渡すものづくりも行っています。

    「ひょんなことから、ある工場で近江麻などの生地がたくさん死蔵されているのを知ったんです。ひと目見た瞬間に、上質なものだとわかりました。細い麻糸を、現代の視点から見れば非効率的な織機でゆっくりと織っていく。そんな余裕がある時代だったんですね」

    画像: デッドストックの生地を使ったローブ。現代にはない風合いに心ひかれる

    デッドストックの生地を使ったローブ。現代にはない風合いに心ひかれる

    画像: 近江麻の工場から譲り受けたデッドストックの生地たち。独特の風合いや模様の出し方に、ひと目で惚れ込んだそう。右は国内の工場と一緒に開発したウェディングドレスの生地

    近江麻の工場から譲り受けたデッドストックの生地たち。独特の風合いや模様の出し方に、ひと目で惚れ込んだそう。右は国内の工場と一緒に開発したウェディングドレスの生地

    そうして手に入れた生地のなかには、扱いが難しいものも。

    「工場が悲鳴をあげた生地でも、腕のよいアトリエスタッフが、工夫しながら縫い上げてくれます。生地の伸びを調整するために、まず半分縫って、2、3日寝かせてから仕上げることもあるんですよ」

    画像: 腕自慢のアトリエスタッフのなかには、元はナデルの顧客だったという人も

    腕自慢のアトリエスタッフのなかには、元はナデルの顧客だったという人も

    画像: 扱いが難しく、スタッフが伸び止めテープなどで調整しながら縫う生地も

    扱いが難しく、スタッフが伸び止めテープなどで調整しながら縫う生地も

    日本で唯一の技術から生まれたドレス生地

    また、ナデルを始めた当初はドレスにふさわしいやわらかな素材がオーガニックコットンに存在しなかったため、工場と一緒に開発していました。

    極細の糸を使い、ふんわりとやさしい風合いに織り上げるにはハイグレードな技術が必要で、それができるのは日本で1社のみなのだとか。この稀少な技術も、ずっと先の時代まで受け継がれてほしい宝物といえます。

    ◇ ◇ ◇

    「ナデル」ループボタンブラウスに、「天然生活」別注色のネイビーができました

    画像: 優れた技術を次世代に。NADELL・北村ヨナさんの気持ちよく循環する暮らし/伝統について

    1月22日(土)10:00より、天然生活 ONLINE SHOPでネイビー、ホワイトの2色を販売いたします。ぜひご覧ください。

    天然生活 ONLINE SHOP
    https://shop.tennenseikatsu.jp/

    画像: 「ナデル」ループボタンブラウスに、「天然生活」別注色のネイビーができました



    〈撮影/ヨシダダイスケ 構成/鈴木理恵(TRYOUT) 取材・文/野崎 泉〉

    北村ヨナ(きたむら・よな)
    プレタポルテのデザイナーを経て、2008年よりオーガニックコットンを主軸とするブランド「ナデル」主宰。日常着のほか、ウェディングラインも手がける。翌年に夫の故郷の京都に移住し、京都市役所前駅近く河原町通りに直営ショップをオープン。大阪の「阪急うめだ本店」にもショップがある。
    https://www.nadell.jp/

    ※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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