日本の“四季折々の自然の美しさ”や“伝統行事の楽しみ”を日々感じながら、心豊かに暮らすヒントを『神宮館高島暦』で長年にわたり主筆を務めた、暦法研究家・井上象英さんが伝えます。
1月20日 11時39分
二十四節気・大寒(だいかん)
二十四節気の24番めが、この大寒となります
旧暦ではまだ12月。
本格的な寒さを体感する季節です。
小寒から大寒を過ぎ、さらに立春までの間を「寒の内」と呼び、魚がおいしい季節でもあります。
この時期もっとも食卓をにぎわすのがマグロや寒ブリ。
極寒が体にこたえますが、おいしい魚を食べてのりきりましょう。
大寒の期間の七十二候
1月20日から1月24日ごろ
大寒初候・ 款冬花[ふきのはなさく]
一年のなかで最も寒さが厳しい時期ではありますが、一方で雪解けとともに野山の土の下からふきのとうが一斉に芽吹き始めるころ。
ふきはキク科の多年草で、2月から3月にかけて北上する、春の恵みの象徴でもあります。
1月25日から1月29日ごろ
大寒次候・ 水沢腹堅[さわみずこおりつめる]
寒暖差が激しく、溶けかけた水が再び凍てつくような空気に襲われるころ。
空気は澄み、透明感のある月や星が、空にもっとも美しく見える季節です。
日本の四季は、空、山、森、野原、畑、そして花々など、自然が主役です。
日頃はつい忘れがちですが、その中で生かされていることに感謝したいものです。
1月30日から2月3日ごろ
大寒末候・ 鶏始乳[にわとりはじめてとやにつく]
とやにつく、の「とや」とは鶏小屋のこと。
つまり鶏が卵を産み温めるために、巣にこもり始めることを指しています。
卵を産み、乳を出さない鳥になぜ「乳」の文字が? と不思議に思うかもしれませんが、ここでは親鳥が産卵し、ひなを育てることを「乳」という言い方で表現しているのです。
* 二十四節気
四季の移り変わりをわかりやすくするために一年を24等分したのが二十四節気。もともとは2000年以上前の、古代中国の天体観測からつくられた暦法です。二至(冬至と夏至)二分(春分と秋分)を軸として、その中間に四立(立春・立夏・立秋・立冬)がつくられており、その間をさらに前半と後半に区切ることで二十四節気と称しています。
* 七十二候
七十二候とは、二十四節気を気候の変化でさらに細分化したもの。ひとつの節気を「初候」「次候」「末候」という三つの“候”に区分。約5日という細かい期間を、草花や鳥、虫などの様子で情緒的に言い表しています。
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*本記事は『365日、暮らしのこよみ』(学研プラス)からの抜粋です。
*二十四節気、七十二候の日付は2022年の暦要項(国立天文台発表)などをもとにしたものです。日付は年によってかわることがあります。
<イラスト/山本祐布子 取材・文/野々瀬広美>
井上象英(いのうえ・しょうえい)
暦作家、暦法研究家、神道教師、東北福祉大学特任講師。100年以上の歴史を持ち、日本一の発行部数の『神宮館高島暦』の主筆を長年務め、現在は、企業・各種団体などで講演活動、神社暦や新聞雑誌等の執筆活動など、多方面で活躍。著書に『365日、暮らしのこよみ』(学研プラス)、『こよみが導く2021年井上象英の幸せをつかむ方法』(神宮館)など多数。
『神宮館高島暦』で長年にわたり主筆を務めた暦法研究家の井上象英さん。その知識は、神道学、九星気学、論語、易経、心理学にも及びます。この本は暦を軸に、日本の伝統行事や四季折々の自然の美しさや楽しみ方を誰にでもわかる、やさしい口調で語っています。1月1日から12月31日まで、日本の四季や文化伝統を日々感じながら、心豊かに暮らすヒントが満載です。