• スーパーやコンビニで、いつもの買い物ついでに、ついつい買っちゃうおやつ。昔からずっと好きだったあの味、いま見てもかわいいパッケージ。無意識に選んでいるようでいて、そのおやつの先には大切な思い出や、忘れられないエピソードがありました。今回は、随筆家 山本ふみこさんの、「チロルチョコ」のお話。

    〈チロルチョコ〉は、くたびれたときの、かわいい相棒

    〈チロルチョコ〉で、季節や地域を感じる。

    「出先で移動中に、打ち合わせ中に、地下鉄でこっそり。家で食べないと決めているわけではないんですが〈チロルチョコ〉を食べるタイミングを思い返すと、外で食べていることが圧倒的に多いですね」(山本ふみこさん)

    「『ちょっと甘いものが食べたいな』というときに、コンビニでどれにしようかな〜なんて、わくわくしながら、まとめて何個か買うんです。それで、大阪のおばちゃんみたいに、みんなに配っています。コンビニだと、レジの周りに置いてあることが多いじゃないですか。それを見ると、なんだか気持ちが和んで買いたくなっちゃうんですよね」といいます。

    出先でチョコレートを買うとしたら、断然〈チロルチョコ〉を選ぶという山本さん。スーパーやコンビニで〈チロルチョコ〉のコーナーを見つけては、しゃがんでじっくり選んでいるんだそう。

    「行く先々で、ラインナップが変わるのも楽しいんです。地方限定のものがあったり、都心の方は大人っぽいフレーバーが並んでいることもあって。調査をしているわけじゃないけれど、このお店は何があるかな? と、ちょっとした遊びにもなっています」(山本さん)

    元祖は、3連つなぎの横長チョコレート。

    画像: 1962年に発売された、チロルチョコの原型(現在も発売中)

    1962年に発売された、チロルチョコの原型(現在も発売中)

    現チロルチョコ社の歴史は古く、もともとは1903年に、労働者に甘いものを食べてもらおうと個人商店「松尾商店」として創業。当時はキャラメルを販売していました。

    子どもたちに、10円でチョコレートを食べさせてあげたいと開発したのが〈チロルチョコ〉。当時はチョコレートが高価だったので、原価を下げるために、チョコレートでヌガーを包む独自の製法で10円という価格を実現させました。それがヒットして、人気商品の『コーヒーヌガー』につながっています」(チロルチョコ株式会社開発部マーケティング室/川崎佑真さん )

    画像: 3連タイプは、パキッと折ってひと粒ずつ楽しむこともできる

    3連タイプは、パキッと折ってひと粒ずつ楽しむこともできる

    1962年、一番最初に発売したチョコレートは、ひと粒ずつの個包装ではなく、3連つなぎの横長タイプ。

    ひと粒サイズになったのは、オイルショックによる原価の高騰がきっかけでした。

    原価高騰により値上がりした商品を、また10円で販売したいという想いから、1979年ひと粒サイズの〈チロルチョコ〉が誕生。〈チロルチョコ〉に歴史ありという感じですね。

    サイズが大きくなった意外な理由とは?

    その後、90年代にはコンビニエンスストアでの取扱いがスタート。

    そこで10円から20円に値上げをしましたが、その理由はこんなところにありました。

    「駄菓子屋さんだとバーコードは必要ないのですが、コンビニで販売するとなるとバーコードが必須。これまでの大きさではバーコードが入りきらず、どうしてもサイズを大きくする必要がありました。それで20円になったんです」(川崎さん)

    これまでに約500種類のフレーバーを出し続けながら、その価格を保っているだなんて、たゆまぬ企業努力を感じずにはいられません。

    ちょっとうれしい大人の “おまけ”

    画像: ポチ袋に入れて「ありがとう」を伝えても

    ポチ袋に入れて「ありがとう」を伝えても

    「以前、オリジナルの写真が印刷されて『ほんの気持ち』と書かれた〈チロルチョコ〉をいただいたことがあって。こういうアイデアっていいなーって、うれしくなっちゃいました。だから自分でも、エッセイ講座のお仲間の皆さんへ作品を戻すときに、おまけとして入れたりするんです」(山本さん)

    小さくて、かわいくて、おいしい。

    この条件にぴったりとハマる〈チロルチョコ〉だからこそ、自分だけで楽しむのでなく、だれかとシェアしたくなるのかもしれません。

    ユニークなパッケージの数々は、社内のデザイナーがアイデアを持ち寄って会議で決めているんだとか。

    社長も毎日打ち合わせに参加する、楽しくにぎやかな会社。だから選ぶのも食べるのも、楽しくてワクワクするおやつなんだとわかりました。

    画像: 人気のビスがかたちを変えて大袋になった、「チロルチョコ〈ミニビス〉」324円(税込参考価格)。(画像提供:チロルチョコ)

    人気のビスがかたちを変えて大袋になった、「チロルチョコ〈ミニビス〉」324円(税込参考価格)。(画像提供:チロルチョコ)

    おうち時間の増えたいま、大袋タイプの商品が人気急上昇中。

    定番の「ミルク」や「ビス」が、パクパク食べやすいハーフサイズで入っています。スーパーで見つけたら、ぜひ試してみてくださいね。

    画像: 小さくて、かわいくて、おいしい。

    チロルチョコ(コーヒーヌガー(左)、ミルク(右))
    ■ 内容量:1個(26g×2袋)
    ■ 参考小売価格:22円(税込)
    ■ メーカー チロルチョコ ブランドサイトを見る

    〈撮影/山田 耕司 取材・文/山下あい〉



    山本ふみこ(やまもとふみこ)

    随筆家。「ふみ虫舎通信エッセイ講座」主宰。1958年北海道小樽市生まれ。2021年5月に埼玉県熊谷市に移住。公式ブログでは、移住した熊谷での暮らしをはじめ日々の暮らしをつづっている。『家のしごと』(ミシマ社)、『暮らしと台所の歳時記――旬の野菜で感じる七十二候』(PHP研究所)、『台所から子どもたちへ』(オレンジページ)ほか、著書多数。

    これまで著書や新聞連載の挿絵として描いてきたもののなかから12枚選んで、ポストカードを制作。Fumimushiオンラインショップから購入可能。
    オンラインショップ:https: fumimushi.thebase.in

    インスタグラム:@y_fumimushi



    本誌プレゼントへのご応募はこちら

    お得な定期購読はこちらを
     (富士山マガジンサービス)

    おいしいもの,読みもの,お菓子,連載,買っちゃうおやつ,山本ふみこ

    This article is a sponsored article by
    ''.