• 歳を重ねて、「あ~そういうことだったのか!」と「はたとわかる」ことがあります。編集者・ライターの一田憲子さんが、50代になったいま、悩んだり迷ったりしていた20代のときの自分に伝えたいこと。今回は、歳をとって頑張れなくなっても、幸せであり続けることはできるというお話です。
    (『もっと早く言ってよ。50代の私から20代の私に伝えたいこと』より)

    [20代の私]
    頑張って、幸せになろう!

    [50代の私が伝えたいこと]
    歳をとって頑張ることができなくなったって、幸せであり続けることはできる!

    人は頑張らなくても幸せになれるんじゃなかろうか

    画像: 人は頑張らなくても幸せになれるんじゃなかろうか

    人は、いろんな目標を持って頑張るものだよね。私なら一人前のライターになるために。会社員の人は、プロジェクトで成果を出すために。お母さんは、いい母親になるために。そのためには何が必要なんだろう? と試行錯誤を続け、目の前にあることに全力で向き合う。

    そんな無我夢中な時代って、いいものだなあと思います。

    でもね、ず〜っと頑張って仕事をしてきた私は、最近になって「ほんとにそうかな?」と思うようになりました。

    もしかしたら、人は頑張らなくても幸せになれるんじゃなかろうかって。「頑張る=幸せになる」という方程式を覆すことは、私にとって大事件です。

    だったら、今まで何のために頑張ってきたんだろう? と、これまでの道のりを否定することになるから……。

    確かに、今まで頑張ったからこそ、少しずつ好きな記事が書けるようになり、好きな本が作れるようになりと、いろんな実りを手にすることができました。それは何より幸せなことだったんだよね。

    でも、ふと足元を見て「だったら、私は仕事をしていなくちゃ幸せじゃないのか」と問い直した時、「あれ?」とわからなくなっちゃったんです。

    「頑張ったら、幸せになれる」ということは、頑張って何かの「成果」を手にすれば幸せになれるということです。それは何かを「生産する」ことで生まれる幸せです。みんな、少しでもその「生産量」を上げるためにガンバル!

    でも、もし私が歳をとって仕事ができなくなり、何も生み出すことができなくなったら、幸せじゃなくなってしまうんでしょうか? 幸せの定義って、なんだか違う気がする……。そう考えるようになったんだよね。

    人生の後半になればなるほど、ハッピー曲線が上がるといい

    画像: 人生の後半になればなるほど、ハッピー曲線が上がるといい

    歳を重ねると、つまり老いるとだんだんできないことが増えていきます。でも、何かができなくなったって、幸せに暮らすことはできないものかな?

    私の今のいちばんの望みはね、人生の後半になればなるほどハッピー曲線がぐっと上がること。若い頃のようにバリバリ働けないかもしれないけれど、そことは違うもうひとつのステージで、幸せの幅をみっしり太くすることなんだよね。

    そのためには、今の私の年齢あたりから「幸せ」に対するアプローチを変えなくちゃいけないんじゃないかなと思うようになりました。

    たとえば、休日の夕暮れ時に夫と一緒にスーパーに買い物に出かけます。「今晩、何が食べたい?」「う~ん、麻婆春雨」「え~、また~?」なんて話しながら、夕焼けの中を歩く時間が大好きです。

    ある日はテレビの料理番組で、おいしそうな天ぷらの作り方を知りました。水に小麦粉を入れてシャバシャバな状態にし、鯛をくぐらせてカラリと揚げるというもの。早速、真似してやってみて、塩でいただいたらびっくりするほどおいしい!

    そんな幸せだったら、歳をとったからといって薄れて消えていくことはなく、ちゃんと積み重ねていくことができるんじゃないかなあ。

    つまり、幸せってゲットするものではなく、暮らしの中のさまざまな場面で「わ〜い」と喜ぶチャンネルを増やすってこと。だから私は、これから少しずつ「頑張らなくても幸せ」を見つけていきたいなあと思っています。

    もちろん「頑張って幸せになる」というプロセスも大好きです。自分の伸び代を見つけて、できないことができるようになる……。それは何物にも代えられない喜びです。

    頑張ることと頑張らないこと。それをアクセルとブレーキのように使い分けて、自分が手にする幸せを多面体として磨いていければいいなあと思っています。

    本記事は『もっと早く言ってよ。50代の私から20代の私に伝えたいこと』(扶桑社)からの抜粋です



    一田憲子(いちだ・のりこ)
    1964年生まれ。 編集者、 ライター。 OLを経て編集プロダクションへ転職後、フリーライターとして数々の書籍や雑誌で活躍。 取材やイベントで全国を飛び回り、 著名人から一般人まで、 これまで数多くのインタビュー取材を行い、 その独自の筆致には定評がある。近著は『もっと早く言ってよ。50代の私から20代の私に伝えたいこと』(扶桑社)。ホームページ「外の音、 内の香 (そとのね、うちのか)」では、暮らしの知恵を綴っている(https://ichidanoriko.com/)

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    『もっと早く言ってよ。50代の私から20代の私に伝えたいこと』(扶桑社)

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    50代になったイチダさんが「はたとわかった」これからの人生を豊かにする40のことを紹介。

    「この本では、50代の今の私が『わかった』ことを、20代だった私に語りかける形で綴ってみました。私と同世代の方には『そうそう!』と共感していただけるかもしれません。20代、30代のまだ惑いの中にいる方には、不安や悩みを少し和らげるちょっとしたヒントになるかもしれません。」(一田憲子さん はじめにより)



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