(『天然生活』2020年8月号掲載)
ゼロウェイストってなんですか?
ごみやむだ(ウェイスト)をなるべく出さない暮らしや取り組みのこと。
家族4人でごみを 年間1L以下 しか出さないベア・ジョンソンさんの優雅な暮らしぶりが、世界的に注目され、欧米では実践する人が続出しました。
「日本ではなかなかそこまで減らすのは難しいですが、できる工夫は意外にたくさんありますよ」と服部さん。
“ごみが減る”心地よさと、 “むだを省く” プロセスを楽しむ
「ごみを減らすって大変そうと思われるかもしれませんが、むしろシンプルライフに近いです。むだなものを省いていくイメージ。 “これなしでも平気かな” と考えるのは、楽しい発想の転換です」
もともと神奈川の葉山で「やまねごはん」として活動していた服部麻子さん。当時からオーガニックや地産地消には意識的でしたが、最初にごみに目覚めたのは夫の雄一郎さんでした。
ゼロウェイストの仕事を経て、ついにはベア・ジョンソンさんの著書『ゼロ・ウェイスト・ホーム』(アノニマ・スタジオ)を翻訳するまでに。
「最初は受け身でしたが、ごみが減って驚きました。ごみが少ないとごみ出しの回数が減り、ごみ箱がにおうことも皆無に。純粋に “心地いいな” と感じました」
服部家のごみは、上の写真のとおり、5人家族にしてはかなり少なめ。
生ごみは土へ。過剰包装は断り、出たごみはきっちり分別。自然素材のものを選び、買いものは最小限を心がけます。
「ごみというと “リサイクル” のイメージですが、エネルギーを使うリサイクルは最終手段。その前の “むだを省く” プロセスにこそ、ゼロウェイストの楽しさが詰まっている気がします」
でも、「3人の子どももいるし、無理しすぎないことも大切にしています」とも。
「無理は続きません。できなくなる時期があってもいいんです。義務ではないので、そのときの自分がしたいことをすればいいと思っています」
“地球に寄り添い、かつ自分自身も心地よく” ――ゼロウェイストの本質はここにありそうです。
服部さんのゼロウェイストの歩み
2005年
第1子出産
2006年
庭で人生初の生ごみ処理開始。うじ虫発生に絶叫したのは夫。自身は畑を楽しみ、生ごみを土に戻す生活を心地よく思う
2007年
ゼロウェイストという言葉を知る。まだまだ他人ごと
2010年
第2子出産。カリフォルニア州バークレーへ転居。畑&生ごみ処理を続行
2012年
南インド・チェンナイへ転居。異国での混沌の日々で、畑も生ごみ処理もできず
2013年
地方移住を視野に、京都のマンションで仮住まい。第3子妊娠などで忙しく、畑も生ごみ処理もできず
2014年
高知の山麓の空き家へ移住
2015年
ADHD傾向であると判明。整理ができず、シンプルライフの必要性に気づく
2016年
『ゼロ・ウェイスト・ホーム』刊行に伴い、夫が強引にごみ減量強化。賛同し、マイ容器での買いものをはじめるものの、過激なごみ減量に反発を覚え、口論もする
2019年
プラ問題の深刻さを知り、「プラごみを出したくない」と心の底から思うようになる
* * *
〈撮影/河上展儀 取材・文/鳥野 曜〉
服部麻子(はっとり・あさこ)
バークレー、南インド、京都を経て、家族で高知の山のふもとに移住。Asteropeの屋号で野草茶のブレンドを手がける。夫との共著に『サステイナブルに暮らしたい―地球とつながる自由な生き方』『サステイナブルに家を建てる』(アノニマ・スタジオ)。
インスタグラム:@asterope_tea
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
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坂井より子さん、早川ユミさん、服部雄一郎さん・麻子さん、青木美詠子さん、本多さおりさんなど、15人の方々に、自然に寄り添う暮らしの様子を見せていただきました。
共通しているのは、楽しみながら工夫していること。それが、結果的にエコな暮らしにつながっていくような気がします。
自分にも地球もやさしく、心地いい暮らしのヒントを、この本の中に見つけてみてください。
【CONTENTS】
第1章 循環する暮らし/第2章 フードロスを減らす/第3章 お金の使い方を見直す/第4章 掃除・洗濯。道具のお手入れ/ごみを、ごみにしない暮らし方/始めよう、コンポスト生活/プラスチックを減らす生活