(『天然生活』2020年8月号掲載)
ゼロウェイストってなんですか?
ごみやむだ(ウェイスト)をなるべく出さない暮らしや取り組みのこと。
家族4人でごみを 年間1L以下 しか出さないベア・ジョンソンさんの優雅な暮らしぶりが、世界的に注目され、欧米では実践する人が続出しました。
「日本ではなかなかそこまで減らすのは難しいですが、できる工夫は意外にたくさんありますよ」と服部さん。
ごみを出さない台所の工夫
みつろうラップや皿のふたでラップいらず
服部家では、10年以上食品用ラップフィルムを使っていません。
「数日冷蔵庫に入れておく程度なら、平たいお皿をかぶせるだけで十分です」
木綿の布にみつろうを染み込ませたみつろうラップも便利。
「見た目もきれいです。ただし、高温で溶けるので、電子レンジや熱いお湯はNGです」
洗い物には石油製品を使わない
台所用スポンジはほとんどが石油製品。擦り切れたカスはマイクロプラスチックになります。
お湯だけで食器が洗える「びわこふきん」ならスポンジも洗剤も必要ありません。
「油汚れがひどいときは、重曹でこすります」
庭で育てて、庭に埋められるヘチマのスポンジも併用中。
調理道具は長く使えるものを
木製やステンレス製の丈夫な調理道具を愛用しています。
「使いやすく見た目よし。汚れもつきにくいです。プラスチック製は、においや色がつきやすいのも気になります」
フライパンは鉄製。
「テフロンなどフッ素樹脂加工は、剥がれたカスがマイクロプラスチックになるので、避けています」
ごみにしないで再利用
割れた器は金継ぎを
作家ものの器が好きな服部さん。でも、「ADHD傾向もあって、たびたび欠けさせてしまいます」。
そのため、知人に定期的に金継ぎを依頼。
「金は高価なので、銀や白漆、真ちゅうなど、器の表情に合わせて、より手頃な素材で継いでもらっています」
色合いの違いも楽しみのひとつなのだそう。
ジャムなどの空きびんを入れ物として活用
小さな空きびんは、残ったおかずや手づくりの佃煮の保存に大活躍。
「ガラスは中身もよく見えるので、専用の密閉容器より使いやすいくらいです」
友人へのちょっとしたおすそ分けの入れ物としても重宝
「食べ物だけでなく、野菜の種、掃除用の重曹など、びんは何でも入れられます」
ワイン箱を重ねて自由自在の本棚に
ワイン箱は奥行きが本にぴったり。
「23歳のとき、友人のワンルームマンションで教わったアイデアです」
感銘を受け、その足で高級スーパーに突撃。
「運よく8個も譲っていただき、ふたりでヒーヒーいいながら持ち帰ったのはよい思い出。そのまま20年使い続けています」
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〈撮影/河上展儀 取材・文/鳥野 曜〉
服部麻子(はっとり・あさこ)
バークレー、南インド、京都を経て、家族で高知の山のふもとに移住。Asteropeの屋号で野草茶のブレンドを手がける。夫との共著に『サステイナブルに暮らしたい―地球とつながる自由な生き方』『サステイナブルに家を建てる』(アノニマ・スタジオ)。
インスタグラム:@asterope_tea
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
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坂井より子さん、早川ユミさん、服部雄一郎さん・麻子さん、青木美詠子さん、本多さおりさんなど、15人の方々に、自然に寄り添う暮らしの様子を見せていただきました。
共通しているのは、楽しみながら工夫していること。それが、結果的にエコな暮らしにつながっていくような気がします。
自分にも地球もやさしく、心地いい暮らしのヒントを、この本の中に見つけてみてください。
【CONTENTS】
第1章 循環する暮らし/第2章 フードロスを減らす/第3章 お金の使い方を見直す/第4章 掃除・洗濯。道具のお手入れ/ごみを、ごみにしない暮らし方/始めよう、コンポスト生活/プラスチックを減らす生活