(『愛してやまないカフェロッタのことと、わたしのこと』より)
カケラたちに会い、ロッタでの日々を回想
ロッタの閉店から4カ月が経ったある日、カケラに会いに行ってきました。名付けて『カケラと再会の旅』。
たくさんロッタのカケラがある息子の店『cafeASHITO(カフェアシト)』へ。
「やぁ、お久しぶり〜」と迎えてくれたのは、黒いわんこのドアストッパー。しっぽがもげちゃっているからしっぽは振れなかったけど、きっと久しぶりの再会にブンブン振って喜んでくれたと思う。
このわんこは、生涯現役で21年間ロッタのドアマンをしてくれました。
雨、雪の多い新天地・金沢で、ちょっと錆びてきているのが気になるところ。
カウンターに並べられた椅子の中にも1脚、ロッタのカケラがいます。ロッタのスタッフは、毎日この椅子に座ってまかないを食べたっけな。
他の椅子たちとひとつだけ色が違って、なんかすみっこで照れくさそうにしていました。早くみんなに馴染みますように。
店主の大和がコーヒーを淹れてくれるのを待っている間、ふとカウンター席を見上げると、そこには小さくてかわいいステンドグラスの灯りがふたつ。
これは、カフェロッタのカウンターを21年間ほんのりと灯していたもの。お会計の時、何十人もの方に「どちらで買ったんですか?」と聞かれたっけ。
アシトに入って右の壁際のテーブルもカフェチェアーもロッタの大きなカケラです。
このコたちは、フランス→世田谷→金沢と転勤族。寒さには慣れているのかしら?
金沢が気に入ったようで、すでにしっくりと馴染んでいました。ママひと安心よ♡
プリンが乗せられているお皿もロッタのカケラ。そう、添えられたプリン用のスプーンもね。
このお皿は、特にわたしのお気に入りの一枚でした。きっと記憶に残っているお客様も多いんじゃないかしら? 懐かしいでしょ〜。
わたしの想いを引き継いで、今もお客様を迎え続ける
ロッタのカケラたちがロッタの想い(わたしの想い)を引き継いで、あたらしい店主のもとで生き生きとお客様をお迎えしている。そして、ここに来ればまた会えることがなにより嬉しい。
みなさんのところにいったロッタのカケラたちも元気にしていますか?
しあわせに暮らしていることを心から望みます。愛してやまないロッタのカケラたちを引き取ってくれてありがとう。どうぞわたしに代わって、かわいがってあげてね。
あぁ、みなさんのところにも『カケラと再会の旅』に行きたいなぁ。
本記事は『愛してやまないカフェロッタのことと、わたしのこと』(旭屋出版)からの抜粋です
桜井かおり(さくらい・かおり)
文筆家。大手損害保険会社のOLを経て、東京・代官山「クリスマスカンパニー」にアルバイトとして勤務。その後、系列店のテディベア専門店「CUDDLYBROWN」で店長を務める。2001年3月、東京・松陰神社前で「カフェロッタ」をオープン。心のこもった接客に、全国からお客様が足を運び、お客様から相談やお手紙をもらうことも多かったそう。「カフェロッタ」は2021年9月末に建物老朽化のため、惜しまれつつ閉店。いまは、文筆業や、買い付けなどを行う。著書に『カフェロッタのことと、わたしのこと』(旭屋出版)がある。新刊『愛してやまないカフェロッタのことと、わたしのこと』(旭屋出版)が発売になったばかり。
インスタグラム:@kaorilotta
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