原稿を集中して書くための場所のはずが……
金沢の話、しばらくお付き合いくださいね。
古いビルの一室をアトリエとして借りた本来の理由は「原稿を集中して書くための場所」でした。
そのつもりで物件を決めたのですが……テンテンテン。
原稿を書くためのパソコンを置くテーブル、原稿が書ければ何でもいいわ! というわけにはいかない。アンティーク屋さんでちょうどいい大きさの気に入ったテーブルを購入したら、次はそのテーブルに合う椅子もほしくなる。いや、必要。
そして、ここで生活をするわけではないと言っても最小限の食器は必要でしょ、となると棚もいる。
そんなこんなで素敵な家具をそろえたら、壁が気になりだす。
次は、ライト……といった具合に好きなものでまとめていったら「ん、この空間で何かイベントできたらいいな」という考えがフツフツと(ムラムラと)湧いてきちゃって。
最初に言っておきますとアトリエ経営がしたいわけではまったくなくて、この古いビルの一室がこんな素敵な空間に変わりましたよ、見にきて! って感じでしょうか。
そしたら、そしたら、壁の一部にカフェロッタのようにウィリアム・モリスの壁紙を貼りたくなって、さっそくショールームに足を運び、先日工務店さんに貼っていただきました。
思いついたら行動しないと気が済まない性分です。笑
イベントを積極的に開催するわけではありません。アトリエはあくまでも家事を気にせず集中して原稿を書くための場所ですから。
寝泊まりする場所は息子の家の近くに小さく借りることに。
シンプルすぎてなんだか不便でもあるけど “わざと” 不便にしています。
ほら、ホテル暮らしって生活感がなくていいんだけど家に帰ると「やっぱ家がいいわぁ〜」ってなるでしょ? そんな感じを楽しんでいます。
金沢に数日いると東京に戻るのが楽しみで、東京に帰ると次に金沢に行く日が待ち遠しくて。新幹線に乗っている約3時間が切り替えスイッチとなり、いい感じにわたしのオンとオフになっています。
cafe ASHITOでビールとポテチのイベントを
先日、息子の店 cafe ASHITOで一緒にイベントを開催しました。
わたしがこよなく愛するビールとポテチ♡のイベントです。たくさんの方がお越し下さって、みな口々に「金沢にはこうやって外で夜風にあたってビールが飲める店がないんです」と。
なるほど! 雨が多い金沢ですもんね(弁当忘れても傘忘れるな、という言い伝えがあるぐらい雨の日が多いそう)。
夏の間にもう一回ぐらいビールとポテチのイベントやりたいねと息子と企画中。
自立して離れていった息子とまたこうやって関われること、なんか不思議でもあり嬉しくもあります。
金沢の話は、まだ始まったばかり。
つ・づ・く。
読んでくださってありがとー!
桜井かおり(さくらい・かおり)
文筆家。大手損害保険会社のOLを経て、東京・代官山「クリスマスカンパニー」にアルバイトとして勤務。その後、系列店のテディベア専門店「CUDDLYBROWN」で店長を務める。2001年3月、東京・松陰神社前で「カフェロッタ」をオープン。心のこもった接客に、全国からお客様が足を運び、お客様から相談やお手紙をもらうことも多かったそう。「カフェロッタ」は2021年9月末に建物老朽化のため、惜しまれつつ閉店。いまは、文筆業や、買い付けなどを行う。著書に『カフェロッタのことと、わたしのこと』(旭屋出版)がある。2冊目の著書『愛してやまないカフェロッタのことと、わたしのこと』(旭屋出版)は重版が決定。
インスタグラム:@kaorilotta
* * *