(『ごみを出さない気持ちのいい暮らし』より)
八ヶ岳の麓で実践する、素朴で、少し前では当たり前だった暮らし
農家さんから野菜を受け取り、料理をする。ほんの少し残した野菜の端は堆肥になり、畑に戻っていく。
野菜を育てる人、料理をする人、食べる人。それぞれが顔を合わせ、繋がる場所。それが、「DILL eat,life.」です。
中心にあるのは、ものを大切にしたいという気持ち。少し前の日本では、ごく普通だった感覚です。
山戸さんの楽しく続けるためのマイルール①
ペーパータオルは使わない
魚の水気を取ったり、フライパンの汚れを拭き取ったり。何も考えずにペーパータオルを手にすることが多いけれど、ちょっと立ち止まることも必要です。
「水気を拭き取るなら、清潔なふきんでもいいし、汚れを落とすなら、使い古しのウエスでも十分。私は再生紙のトイレットペーパーをキッチンに常備していて、油汚れを拭き取るのに使っています」
繰り返し使えるものを選ぶ。あるいは、使い捨てざるを得ないものならとくに、何を選ぶのがベストかを考える。そんなちょっとしたことがごみを減らす入り口になります。
山戸さんの楽しく続けるためのマイルール②
リターナブルびんの調味料を買う
びんや缶は、“リサイクル”できるから環境に負荷をかけない……と思いがち。だから、あえてそれらの素材を選ぶ人も多いのでは?
「もちろん、使い捨てよりはずっといいと思います。けれど、ベストかというと必ずしもそうではないんですね。やはり、リサイクルするのにエネルギーが多くかかりますから。本当に環境にやさしいのは、同じものを繰り返し使うことだと思います」
そこで山戸さんが選んだのが「生活クラブ」。容器を洗浄し繰り返し使うことが決め手になりました。
「今、気になっているのが段ボール。山の中なので通販に頼ることも多いのですが、きれいなままの段ボールをリサイクルに出すことに抵抗があって。リユースできる仕組みがあるといいなと考えています」
本記事は『ごみを出さない気持ちのいい暮らし』(家の光協会)からの抜粋です
〈撮影/衛藤キヨコ 取材・文/福山雅美〉
山戸ユカ(やまと・ゆか)
料理家。東京都で生まれ育ち、山梨県北杜市に移住。八ヶ岳の麓で、地元産の有機野菜を使った玄米菜食を中心としたレストラン「DILL eat,life.」を営む。一昨年より、添加物を使わないトレイルフードブランド「The Small Twist Trailfoods」を立ち上げ、好評を博す。お店では地元の生産者の野菜のほか、抗生物質や遺伝子組み換えのえさを使わずに育てられた鶏肉、平飼いの卵、ニジマスなど地元で取れる魚などを使用。
DILL eat,life.:https://dilleatlife.com/
インスタグラム:@yukayamato
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使い捨てのプラスチック容器を使うことや、流行を追って洋服を買い続けることに「便利で快適だけれど、なんだかモヤモヤする…」と疑問をもつ人が増えています。「便利で豊かな暮らし」だと思っていた生活スタイルが、実は地球環境にダメージを与えているかもしれません。
この本では、6名の方々に、ごみをなるべく出さないために、日々どのような「捨て方」「買い方」「使い方」を実践しているかを教えていただきました。自分にとって負担の少ないことから、暮らしをちょっと変えてみませんか。できることからはじめれば、気持ちのいい毎日が過ごせます。