(『天然生活』2019年10月号掲載)
門倉多仁亜さんの心がけ1
自分がやりやすいように
日々、メンテナンスをしながら、よりよい方法を探します。もやもやはため込むほど、手をつけるのがおっくうになります。
使う場所の近くに収納
食器はすべて、キッチンの食器棚。そんな常識を考え直してみる。
来客の多い門倉家では、お茶を出すグラスは、リビングにある方が便利。繊細なグラスは、古いタンスに専用の仕切りを付けてもらって収納。
不便を感じるところから始める
料理をしていて、「あ、この道具はむしろ、こちらにあった方が便利かも」と感じたら、とりあえず移動させてみる。使うときに手に取りやすく、戻しやすい場所を暮らしながら探っていく。
おっくうな家事は、時間を計る
苦手な家事は面倒になり、腰を上げるのがおっくうになるもの。
そこで、実際にかかる時間を計ると、実はそんなに時間をとられないことに気づき、すきま時間に気軽に済ませようと思える。
習慣をつくる
ベッドメイキングは、起きてすぐ整えられる方法にして無理なく習慣化。
「我が家では、掛け布団を半分にたたみ、足元にたたんだブランケットをかけるドイツ式。簡単ですっきり見えます」
門倉多仁亜さんの心がけ2
すっきり見える工夫を
ものはできるだけ表に出さず、引き出しにしまいます。散らかりがちな場所やものこそ、自分なりのルールで管理します。
見せない収納
「実際にともすランプや、水やりが必要な草花など、表に出すものは、できるだけ日常で手に触れるものに。すると、ほこりなどもたまりづらいんです」。
空間にものが少ない分、存在感が大きくなる家具は吟味して。
キッチンは調理家電もしまう
出しっ放しにしがちな炊飯器なども、ラックのかごの中に。
「使う頻度の高いハンドミキサーだけは、すぐ取り出せるキッチンの引き出しに。家電とひとくくりにせず、自分のルールで分けます」
玄関はすっきりと
キャビネットには、照明と季節の花。そして小さな箱だけ。
「小箱には宅配便を受け取るときのはんこを。一緒にミントのオイルを染み込ませた紙を入れ、箱を開けるたびにほのかに香らせます」
作業の1クッションをつくる
「すぐやらなければ」と思うと、気が重くなってますます、先延ばしに。
ここは「てげてげ」の精神で。
「たまりがちな事務書類は、一時置きファイルをつくり、いっぱいになったら手をつけます」
門倉多仁亜さんの心がけ3
ものを増やさないことを意識
使わないもの、存在を忘れているものは、持っていないのと同じ。自分の手に収まるだけの量を、長く大切に使います。
思い出の詰まったものを残す
思い出の品は手放しにくいけれど、たったひとつで多くを思い出させてくれる存在があれば、実は十分。
「私が1歳のころからそばにいる、ぬいぐるみのバビちゃん。彼がいればさまざまなことを思い出せます」
洋服、靴は買い替えのみ
ひとつ買ったら、ひとつ手放す。
この単純なルールが、ものを増やさないシンプルで確実な方法。さらに、「使うものだけを持つ」を徹底すれば、靴も服も、そんなに量は必要ないことに気づく。
ストックは最低限
ストックは自分の適量を知ることから始める。
「東京にいる分には店もたくさんありますから、多くを持たなくても大丈夫」
トイレットペーパーは4ロール入りのものを1袋だけストック。
化粧も掃除もシンプルに
「たとえるなら“チノパンやジーンズ”みたいな暮らしがいい」と門倉さん。
メイク道具も、そんな気分でラフなものだけ。壁の汚れも水周りの掃除も、「エコベール」ひとつを使い回す。
門倉多仁亜さんが楽しむ家仕事
ながらアイロンがけ
面倒なアイロンがけは、好きな映画をごほうび気分で観ながら楽しみます。
洗濯のたびにアイロンがけをするのは大変なので、大きなかごに“アイロン待ち”の服をためてから。
「これも“てげてげ”。暮らしのなかで、ノルマをたくさん課すと、息が詰まってしまうでしょう?」
ちょこっと花を飾る
大きな花束よりも、1、2輪を小さな花器に活けて、部屋のあちこちに飾るのが好き。
「大げさにならず、それでいてさまになるのがいいんです」
門倉家では数少ない、“出しておくもの”。いつも目に触れるものだから、少々高価でも一輪挿しはお気に入りを熱心に探します。
〈撮影/元家健吾 取材・文/福山雅美〉
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門倉多仁亜(かどくら・たにあ)
日本人の父とドイツ人の母の下に生まれ、ドイツ、イギリス、アメリカ、香港などで育つ。近著は心地よく、ていねいに、ゆとりを楽しむこれからの暮らし方 (扶桑社BOOKS)。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです