たまには茶葉からお茶を淹れる
種類も楽しみ方も様々な台湾茶
中国から入ったお茶が、台湾の技術で香りと味わいをより引き出し発展した。
台湾茶は、同じ茶種と発酵度でもワインのように、産地、その年の気候、作り手で味わいが変わる。茶席を設え、茶葉を愛で、香りをアロマのように楽しむ美しいサロン系で体験できる台湾茶藝は、淹れ手の技術でお茶をつるんと光る宝のような液体に格上げする。
そこには日本の茶道の影響もあり、それを知って日本人として少し嬉しくなる。
敷居が高そうだが、そこは懐の大きい台湾人。初めてでも気楽に楽しめるよう招き入れてくれる。
それを躊躇してしまう人には、急須にドバドバお湯をかけ、マグカップに茶葉で飲む豪快なおじさん茶の世界もある。
適当に入れても美味い。それが台湾茶だ。
湯を注ぐ前の乾いた茶葉、湯を注いだ湯気、茶を出した後の湯を含んだ茶葉、茶を飲み干した空の杯と全ての香りを深く吸って、たくさん深呼吸する台湾茶の楽しみ方。
花の香り、蜜のような甘い香り、フルーツ、ミルクの香り、お茶の作り方一つでこんなにバリエーションがあるのかと驚く。
条件の整った環境で保存された茶葉は、時間を吸うと味に変化が生まれる。これは、老茶というビンテージ茶で、またずっと奥の世界の話。
本記事は『暮らしの図鑑 台湾の日々』(翔泳社)からの抜粋です
〈文・撮影/青木由香〉
青木由香(あおき・ゆか)
神奈川県生まれ、台湾在住。2005年に台湾の出版社から出版した『奇怪ねー台湾』がベストセラーに。2011年よりJFN系ラジオ『楽楽台湾』のパーソナリティを8年務める。現在は、「ほぼ日」の連載『台湾のまど』や各メディアで大好きな台湾を日本に紹介している。『奇怪ねー台湾』『台湾ニイハオノート』『好好台湾』『最好的台湾』『台湾のいいものを持ち帰る』など著書多数。2015年台北に台湾のいいもの、日本のいいものを紹介するショップ&ギャラリー「你好我好」をオープン。
インスタグラム:@taiwan_aokiyuka・@nihaowohaostore
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力まず、無理せず、心地よく。台湾の暮らしの「いいところ」を集めた1冊。台湾のかわいいもの、おいしいものをたくさん紹介し続けてきた青木由香さん。長年台湾に暮らし、生活の隅々を体験してきた青木さんに台湾で過ごす日々や、暮らし方のよいところを教えていただきました。
観光に行って見て回るだけじゃない、日本で暮らす私たちが真似したい、心地よい台湾の暮らし方。衣食住から、人との接し方・関わり方まで、AtoZでご紹介します。