(『天然生活』2020年12月号掲載)
半身浴をする
ぬるめの湯に30分以上つかり、体をじっくり芯まで温める
冷えとりの基本である半身浴は、毎日、朝と晩に30分~1時間ほど行います。37~39℃くらいのぬるめのお湯に、みぞおちまでつかり、腕は外に出します。
もし上半身が寒ければ、肩にタオルをかけたり、肩までお湯につかって温まってから半身浴をしても。
「厚いステーキに弱火でじっくり火をとおすように、ぬるめのお湯に長くつかることで体も芯から温まります。だるさなどの不調は、半身浴でたいてい治ってしまいます。上がり際に追い炊きをしてお湯の温度を上げると、お風呂から出ても体の温かさが持続します」
靴下の重ねばき
毎日靴下を重ねてはいて、排毒を促しながら足元を保温
足元を冷やさないように、常に靴下を重ねてはきます。絹の5本指靴下にウールの5本指靴下を重ね、その上から絹とウールの先丸靴下を交互に重ねます。
夏は6~7枚、それ以外の季節は10枚以上重ねるのが基本で、その日の冷えによって枚数を調整します。
「絹は毒素を吸い、綿やウールは絹が吸った毒素を外へ排出する役目があるとされます。冷えとり健康法は最低4枚重ねることを推奨していますが、まずは、絹と、綿かウールの5本指靴下を2枚重ねるところからでも。足がいつも温かい安心感を体験してほしいです」
レギンスを重ねる
天然繊維の締めつけない衣類を選び、「頭寒足熱」のスタイルで
下半身を温かく、上半身を涼しくする「頭寒足熱」の締めつけない服装を心がけ、パンツやスカートの下は天然繊維のレギンスを重ねてはきます。上半身ばかり着こむと頭がのぼせた状態になり、冷えが進むそう。
「下半身を厚く、ゆったりした服装をすると全身が温まります。身につける素材は肌に直接触れる衣類は絹、それ以外も天然繊維です。天然繊維は保温作用と体の毒素を排出する働きがあり、それにより血と気のめぐりがよくなって体温の上昇効果もある気がします。私は冷えとりを続けて平熱が37℃前後に」
お灸をする
ひとりでもできる棒灸で、おなかや首、腰に温熱刺激
ヨモギの葉からつくる「もぐさ」に火をつけ、体に温熱刺激を与えて血行を促進するお灸。服部さんは疲れたときの応急処置として、棒灸をしています。
「棒状のもぐさを器具に挿して使う棒灸は、いろいろな場所を自分で温められて使い勝手がいいです。おなかや首、腰、仙骨などに20~30分くらいあてると、だいぶ楽になります。
鍼灸師をしているスタッフから教わった、体を温めるツボの大椎(だいつい…首の付け根の骨の下)や気海(きかい…おへそから指2本分下)をピンポイントで温めることもあります」
冷えとり健康法をベースに、自然療法を取り入れてセルフケア
いつお会いしても、温かいエネルギーに満ちている服部さん。血色はよく、手はぽかぽか。13年続けている冷えとり健康法をベースに、アーユルヴェーダなどの自然療法を取り入れて、日々セルフケアをしている賜物です。
冷えとり健康法でいう「冷え」とは、上半身と下半身の温度差のこと。
内臓が集中している上半身に比べて下半身は5~6℃ほど温度が低く、どんな人も「冷え」をもっているといわれます。下半身を温めて上下の温度差をなくすことで、体の血と気のめぐりがよくなるという理論です。
「長年、下半身を中心に温めつづけて、体も心も本当に丈夫になりました。以前はしょっちゅう風邪で寝込んでいたし、顔色も悪かったんです。それが風邪を引かなくなり、花粉症やPMS(月経前症候群)が改善して更年期障害もありません。
あとは、疲れても回復が早くなったのが大きいですね。体を温めることで、免疫力や自然治癒力が高まっているんだなと、自分の体験から実感しています」
〈監修/服部みれい 取材・文/熊坂麻美 イラスト/はしもとゆか〉
参考文献/『医者知らず「冷えとり」で完全健康人生』進藤義晴著(海竜社)、『あたらしい自分になる本』服部みれい著(アスペクト)、『うつくしい自分になる本』服部みれい著(筑摩書房)
服部みれい(はっとり・みれい)
文筆家・詩人、『まぁまぁマガジン』編集長。2015年に岐阜・美濃市に編集部ごと移住。オンラインショップや講座、トークなども精力的に行う。年内に『まぁまぁマガジン』24号を発売予定。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです