まだまだ無理、からの卒業
あれー? いつの間にかこんな時間がもてるようになっていたわ、というちょっとした気づきが最近ありました。
店(仕事)があったり、子供がいたり、大切な家族であるペットがいたりで『急なお泊まり』は、まだまだ無理だと思っていました。
旅行はしていますよ。日程が短いところでは金沢のアトリエと東京の行き来、長いところではパリへ買い付けの旅など。
毎回出発前の数日は自分のことより家族や愛犬のことが心配であれやこれや準備してもうバッタバタ。
「毎回同じこと言わなくてもわかってるよ〜」と家族はうるさく感じているだろうが「お母さんの話をちゃんと聞いて!」といろいろ申し送りをして。
そこまでしても「これで完璧!」と安心して出かけることはまずなくて、伝え忘れていることないかなと旅先でずっと気になっている。
でもこの前ね、突然お泊まりをしちゃったのです。ふふふ。
この日は早朝からママ友の運転で紅葉を見にドライブに行きました。
私は免許を持っていないから運転はずっと友人。存分に楽しんだ帰り道、運転が疲れちゃったというよりきっともうビールが飲みたかったんだと思うんだけど(違ったらごめんね。笑)、友人が「今日パパがいないから夜ご飯を作らなくていいの。泊まっちゃおっか? で、朝温泉入って午前のうちに東京に帰るのはどお?」と。
その一声でお互いが「それ、ありかも。まず家族に聞いてみよう!」となったのです。
ママ友ってことはお互い子供はもう成人。誰も「ママがいないと寂しい」とは言わないのにそれでも家を1日でも空ける時は家族が困らぬよう下準備をして出かけていたのです。
カレーを作り置きしたり、冷蔵庫を食材でいっぱいにしたりね。とにかく、家族が困らぬように。文句を言われないように。
でもいつの間にか、『母も(奥さんも)突然のお泊まり』ができるようになっていたんですね。
それが今回の『気づき』。
でもよくよく考えたら子供たちからは、夜ご飯は家で食べるよと言われて作って待っていても「今日友達の家に泊まるからやっぱり夜ご飯はいらなーい」と、さらっと連絡がきてムッとすることが度々あります。みなさんも似たようなことありませんか? これと同じこと。
そろそろ自分の楽しみを優先に
この夜、ママ友と「いつの間にかこんなことができるようになってたね」「ありがたいね〜」「又やろう!」と缶ビールで乾杯をしました。
翌朝は温泉に入って、お泊まり道具はもちろん持っていなかったからスッピンのままおいしい朝食を食べに行って、帰り道はお互いが家族の夜ご飯の食材を産直で仕入れて東京に戻りました。
育児や仕事に追われていた時はもう無理と思っていたこんなキラキラな時間。
今まで優先順位は家族が一番だったけど、そろそろ自分の楽しみを優先してもいいのかもしれませんね。
そう。がんばってきたご褒美ご褒美♡
今回、味をしめたのでこれからは母も(妻も)突然帰って来ない日をつくらせていただきますね。
その時は、お留守番組でつぶ(愛犬)のお世話をしっかり頼みますよ!
おまけ。
うちの家族がこの記事を読んだら「ママは今までだって好きなことやってきてるよね」と言われそう。
読んでくださってありがとー!
桜井かおり(さくらい・かおり)
文筆家。大手損害保険会社のOLを経て、東京・代官山「クリスマスカンパニー」にアルバイトとして勤務。その後、系列店のテディベア専門店「CUDDLYBROWN」で店長を務める。2001年3月、東京・松陰神社前で「カフェロッタ」をオープン。心のこもった接客に、全国からお客様が足を運び、お客様から相談やお手紙をもらうことも多かったそう。「カフェロッタ」は2021年9月末に建物老朽化のため、惜しまれつつ閉店。いまは、文筆業や、買い付けなどを行う。著書に『カフェロッタのことと、わたしのこと』(旭屋出版)がある。2冊目の著書『愛してやまないカフェロッタのことと、わたしのこと』(旭屋出版)が好評発売中。
インスタグラム:@kaorilotta
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