(『天然生活』2020年11月号掲載)
空間だけでなく時間の整理整頓も
今年、1階にアトリエ、2階が居住スペースの新居に引っ越した井上陽子さん。
真っ白なアトリエからは、大きな窓の向こうに公園の緑が。ひとりで作品づくりに向き合う井上さんにとって、窓の外の緑は仕事への緊張感からほっと解放してくれる存在でもあります。
「仕事とプライベートの空間が分かれたことで、作業が途中のままの作品もそのままキープして、翌日に持ち越すことができるようになりました」と井上さん。

自宅1階のアトリエで作品づくりにいそしむ井上さん。すっきりした白い空間が創作意欲をかきたてる
気分転換をしたいときは、2階に上がって料理をすることもあります。
アトリエではすべての道具が仕分けされ、それぞれの定位置にまとめてしまい込まれています。
「そのときに必要な道具だけが出ているので作業が効率的になり、集中もしやすいですね」
井上さんが整理整頓を心がけているのは空間だけではありません。
「だいたい月曜日に、1週間の予定を見直して予定を整理する時間をもつようにしています。スケジュールを1週間単位で考えることで、気持ちにも余裕が生まれます」
また、頭の中にあるアイデアや考えを整理するのも、井上さんにとっては大切な時間に。
「いろんな角度からものごとを考えるのが好きなので、頭の中が混沌とすることも。文字にすることで、考えをクリアにしています」
楽しく働く環境づくりのヒント1
道具はトレイにまとめる

コラージュに使う素材を色や種類ごとにトレイにまとめて作業を効率的に
創作活動に必要なさまざまな道具類。
井上さんは、それらを種類ごとにトレイや箱にまとめて、棚や引き出しにまとめて収納しています。

創作に使うアクリル絵の具はシンプルなスチール棚の引き出しへ。箱にまとめてごちゃつきを防止
「小さいころからものを仕分けして片づけるのが得意なほうでした。すべてのものに住所が決まっているので、使い終わったらすぐにリセットできて、散らかるストレスもありません」

文房具はアトリエにあるカウンターの裏側の棚に、まとめて収納。使うときはここから作業机へ
楽しく働く環境づくりのヒント2
思考を整理する

作品のアイデアやふだんから考えていること、ブログのネタなどの整理に、井上さんが使っているのが無印良品のノートです。

無印良品のノートを両側から使い分け。上下を逆にして書くことで、どちらも左開きで使え、作品ノートか思考ノートかも判別しやすい。
どちらを表紙にしてもいいノートなので、片側は創作ノート、もう片側は思考の整理用と、1冊で2用途に使用。
「ノートをいつも持ち歩いて、思いついたことはすぐメモにとるようにしているのですが、この方法で持ち歩くノートを1冊にまとめています」

手帳は、重要は赤、仕事は青、ほかは黒と3色のペンで書き分ける
楽しく働く環境づくりのヒント3
大事なことは目につくところに

メモやカード類も整然と貼ってあるので、すっきりした空間になじんでいる
壁一面に置かれた大きな白い板。
制作中の作品を飾って、仕上がり具合をチェックするのに使うだけでなく、端には備忘録としてのメモなどが貼り付けてあります。
「デスクからいつも見える場所に貼っておくことで、大事なことを忘れないように。TO DOリストや読みたい本、行きたい展示会のカードなどをそのまま貼り付けます」
井上陽子さんのオンオフのつくり方
仕事モードのオンはラジオで

ラジオはちょうどいいBGM。井上さんもアプリでラジオ番組を配信。気分を上げるため音楽をかけることも
アトリエに来たらまずはタブレットでラジオをつけるのが井上さんの習慣。ラジオを聞きながらその日の段取りを組み立てて、仕事モードへと移行します。
「大体TBSラジオを聴いています。番組が時計代わりにもなって便利です」

アトリエのハンモックで揺られながら短い昼寝、が日課。窓の外の緑を感じながらのんびり
仕事に疲れたときや昼食後は、ハンモックに揺られてひと休みしてリフレッシュを。
〈撮影/有賀傑 取材・文/工藤千秋〉
いのうえ・ようこ
コラージュ作家。ドローイングと紙を組み合わせたコラージュ作品を制作。著書に作品集『Ça va , ça vient』(主婦の友社)などがある。http://www.craft-log.com/
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです