(『おばあめし』より)
おばあの真骨頂! 赤ウインナーと「チーちく」とぼけ顔おにぎり
見た瞬間に、言葉をなくした。はじめはこの顔の何に驚いたのか、自分でも理解できなかった。
この顔こそ、おばあが長年培ってきた独特な感性と技術の結晶だ!と直感的に思ったけど、この下膨れのとぼけたような表情を見ていると、とても“結晶”だなんて考えられず混乱してしまったのだ。
三角に整った輪郭やパーツの形、それぞれの食材、色使い。一つひとつは単純だけど、マネできるようでマネできない何かがある。
眉毛と唇が鮮やかな赤いウインナーなのも、唇はよく見るとちゃんと上下に分かれているのも、目がちくわの中にチーズの入った「チーちく」なのも、ちょこんとのったほうれん草の髪の毛も……見れば見るほど愛着が湧いて、こんなの、どうやって食べればいいかわからへんで、おばあ!
具材
・赤ウインナー
・紀文「チーちく」
・ほうれん草のおひたし
・おかかふりかけ
“あるもん”を活用!? 炊いたちくわの顔おにぎり
おばあ:この顔、ちくわの顔がええとお前が言うたから、またつくったったんやで。炊いたちくわ使ったんは……そら、炊いたんがあったからや!
ごはんに混ぜたんも、なんやわからん残ってたふりかけや。難しいこと考えんと、思うたようにしてるだけや。お前こそ、そんなにあれこれ考えてどうすんねん。せやから、いつまで経っても、なんの仕事してるかようわからんし、嫁さんも―。
孫:いや、もういい! もういいから。“難しいこと”あれこれ聞いた僕が間違ってた。おばあのその“思うたようにしてる”感じ、じゅうぶんこの顔から伝わってくるで。
僕もたまにはこの顔みたいに、ぼーっと考えすぎずに過ごしてみるわ!(だけどやっぱり……顔のモデルは誰とか、おかずのゆでたまごの理由とか、ほかにもいろいろ聞いてみたい!)
具材
・ちくわの炊いたん
・刻みのり
・田中食品「ごはんにまぜて 6色の野菜」
本記事は『おばあめし』(清流出版)からの抜粋です
大迫知信(おおさこ・とものぶ)
1984年、大阪府生まれ。フリーライター、京都芸術大学非常勤講師。大阪工業大学大学院修了、技術職として沖縄電力勤務。3年で退職し、京都造形芸術大学(現・京都芸術大学)に入学。生活費を浮かすために、実の祖母の手料理を食べ始める。大学卒業後はフリーライターとして、体当たり取材もいとわず、書籍のブックライターから紙媒体、Webまで幅広く活躍中。
インスタグラム:@obaameshi
ツイッター:@5643Tom
webサイト:https://obaameshi.com
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アラフォー独身男の孫に、料理をつくり続ける「おばあ」。「おばあちゃんの手料理」とは程遠い、奇抜でぶっ飛んだ料理に、孫のつっこみが炸裂! おばあと孫のオモロイ関係に、笑って、笑って、ちょっと泣ける、グルメ写真エッセイです。