詰め方で2度おいしい
今月の表紙は、家庭料理家の本田明子さんによる、焼き豚弁当。
炊きたてごはんを詰め、その上に薄切りにしてたれを絡ませた焼き豚をのせたら、彩りがきれいな野菜のコンソメ煮に、ほんのりと甘いみつ煮、そして味玉を。
仕上げに、ごはんに黒ごまをふって梅干しをのせる。
これで、表紙の一枚「焼き豚弁当」のでき上がりです。
焼き豚を詰めながら、
「こんなふうに(斜めに)のせると、焼き豚と接する部分は豚丼のように食べられて、そうでない部分は白ごはんとして食べられるので、2度おいしいんですよ」
と本田さんが教えてくれました。
お子さんが、中学生・高校生のときは毎日お弁当をつくっていらっしゃったそうで、私物のお弁当箱がたくさん。
ということで、表紙のお弁当箱以外は、本田先生のお子さまたちが使ってきたお弁当箱で撮影させていただきました。
そんなエピソードも含め、本田先生のお弁当の秘話(?)が、インスタグラムで紹介されているので、合わせてご覧ください。
お弁当が傷みにくくなる詰め方の工夫
使い慣れたお弁当箱だからでしょうか。
たくさん並んでいた仕込み食材もみるみるうちに詰められ、見てるだけでも「絶対、おいしい!」と断言してしまうお弁当が、ぞくぞくとでき上がります。
その工程を見せていただいていると、本田さんのお弁当には、“お弁当が傷みにくい工夫” がたくさん詰まっていることにも気づきます。
たとえば、冒頭で紹介した、焼き豚弁当のごはんにのせた「焼き豚」。
菌の繁殖しやすい中途半端な温度が大敵のお弁当。
豚丼のように味わうためだけではなく、ほかほかごはんと、冷めている野菜が隣接しないような仕切りのような役割も兼ねています。
水曜のそぼろ弁当は、あつあつごはんと、マヨネーズであえたサラダが隣接しないように、ご飯を斜めに詰め、その間にきんぴらを。
そして、お弁当には水分も、また大敵。
「ステンレスの小さい脚付きざるが便利ですよ」と本田さん。
このように、お弁当に詰める前に一旦、副菜のおかずをざるに入れ、ごはんを冷ます間やメインをつくる間に汁をきるそうです。
このひと手間だけでも、かなり違うそう。
今回の企画では、そのまま詰めるだけでも立派なおかずになり、簡単なアレンジで変化をつけられる、6つのつくり置き&半調理食材と、それらをベースにしながら、忙しい朝でも短時間ででき上がる一週間のお弁当を提案していただいています。
春休みも間近。4月からは新年度。
これから、お弁当生活を始める方も多いかと存じます。
ぜひ、“仕込み食材” を味方につけて、心が躍るようなお弁当ライフを満喫してください。
ちなみに、表紙のお弁当箱は天然生活オンラインショップで販売中です。
※本田明子さん、枝元なほみさんによる「週末仕込みで 心躍る一週間弁当」は、『天然生活』2023年4月号、P.14~25に掲載されています。
<料理/本田明子 撮影/山川修一>
本田明子(ほんだ・あきこ)
家庭料理家。小林カツ代の一番弟子として長年師事し、独立。雑誌や料理書、TVでのレシピや介護施設での食事提案など幅広く活動。2人の子を育て上げた母でもあり、お弁当づくり歴もベテラン。近著は『野菜のおかず、何にする?』(ワン・パブリッシング)。
インスタグラム:@honda_akko
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