• 薬膳・発酵料理家の山田奈美さんに、3月におすすめの発酵料理と保存食のレシピを教えていただきました。発酵料理は腸内環境を改善し、免疫力向上の効果が期待できる食べ物として注目されています。物価の上昇が続くいま、お手ごろ価格の「旬」の食材をつかった保存食づくりを始める人も。栄養価が高いだけでなく、たくさん買ってもむだなく使いきれ、節約につながるのも魅力です。今回紹介するのは、「菜の花の乳酸発酵漬け」です。

    菜の花の薬膳的効能ついて

    菜の花は体を温め、血のめぐりをよくし、瘀血(おけつ:古い血が滞ってどろどろと粘っこくなった状態)を取り除くなど、女性にとってうれしい働きを持つ食材です。

    中国ではとくに、産後の血のめぐりの悪さからくる不調や発熱に、民間療法として利用されてきたそうです。また、腫れやむくみをとるなど、解毒作用や老廃物を排出する作用にも優れるため、春のデトックスに最適です。

    一般的に花のつぼみは栄養価が高いといわれますが、菜の花のβ-カロテンとビタミンCはほうれん草の約4倍、葉酸や鉄分は野菜の中でトップクラスの含有量を誇ります。

    【発酵料理】菜の花の乳酸発酵漬けのつくり方

    画像: 【発酵料理】菜の花の乳酸発酵漬けのつくり方

    野菜を塩水に漬けるだけの「乳酸発酵漬け」。“難しくて面倒”という漬物づくりのイメージを覆す手軽さが人気です。

    それだけでなく、乳酸発酵(乳酸菌などによって食材の糖質が分解され、乳酸になること)することで新たな成分がつくられるため、もとの食材よりも酸味やうま味、香りなどがぐんと高まるのがメリットです。

    また、乳酸は酸性の環境をつくるため、ほかの雑菌が繁殖しづらくなり、食材の保存性も高まります。

    今回は、春を告げる野菜・菜の花を乳酸発酵漬けにしましょう。塩水にしっかり漬ければ、塩だけで漬けるよりもカビなどが生えにくく失敗も少ないはずです。

    塩水が少し濁ってプクプクと泡が出きたらうまく発酵している証拠。気温が低いときは発酵に時間がかかるので、できるだけ温かい場所に置いてプクプクするのをのんびり待ちましょう。

    材料(つくりやすい分量)

    ●菜の花4〜5本
    ●にんにく1片
    ●3%の塩水(水1カップの場合、塩は6g)適量

    つくり方

     菜の花は食べやすい長さに切る。にんにくは薄皮をむいて縦半分に切る。

     保存容器にを入れ、かぶるくらいの塩水を注ぐ。

    画像: 菜の花が酸素に触れると雑菌が繁殖しやすいので、塩水にしっかり漬ける

    菜の花が酸素に触れると雑菌が繁殖しやすいので、塩水にしっかり漬ける

    画像: ローズマリーなどのハーブや、短冊切りにしたにんじんやカリフラワーなどほかの野菜と一緒に漬けても

    ローズマリーなどのハーブや、短冊切りにしたにんじんやカリフラワーなどほかの野菜と一緒に漬けても

     ふたを軽くのせ、常温で3〜4日おく。

    画像: 液体が白濁して、ぷくぷく泡が立ってきたら冷蔵庫に移す

    液体が白濁して、ぷくぷく泡が立ってきたら冷蔵庫に移す  

    ※冷蔵庫で3週間〜1カ月保存可能。



    〈料理/山田奈美 イラスト/しらいしののこ〉

    山田奈美(やまだ・なみ)

    「東京薬膳研究所」の武鈴子氏に師事。東洋医学や薬膳理論、食養生について学ぶ。神奈川県葉山町のアトリエ「古家1681」にて薬膳の料理教室や発酵食品の教室を開催。季節の食養生を伝える活動を行う。著書に『季節のお漬けもの』、『菌とともに生きる 発酵暮らし』(ともに家の光協会)などがある。



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