• 「長寿の里」として世界的に知られる、沖縄本島北部・大宜味村(おおぎみそん)。ここで食堂「笑味の店」を営む金城笑子さんは、やんばるの自然と共生する豊かな食文化を伝えています。やんばるの太陽が育てる島野菜「ナーベーラー」についてご紹介します。
    (『おばぁたちの台所 やんばるでつないできた 食と暮らしと言葉の記録』より)

    太陽が育てる島野菜

    大宜味村が長寿を育ててきた背景には、濃い緑、濃い紫、赤や黄色などの緑黄色野菜をたくさん食してきたことがあると思います。

    南国ゆえ、野菜や野草には一年中恵まれます。独特な味で個性的な野菜はどれも栄養価が高く、「クスイムン(食は薬)」として食べられてきました。

    特に夏、太陽の強い日差しを浴びて、紫外線に耐えて生きようとする野菜はこの土地で暮らす人たちにとっての命の野菜。

    夏、軒先にいくつもぶら下がるナーベーラーは、「食べて!」と促しているよう。

    沖縄の野菜というと、ゴーヤーを思い浮かべる方が多いと思います。窓辺でゴーヤーを育てると、ツルや葉がカーテンのように太陽の日差しを遮り、涼しくなります。いわゆるグリーンカーテンです。

    ゴーヤーと同じように、各家庭でグリーンカーテンで育てる野菜に、ナーベーラー(ヘチマ)があります。

    画像1: 夏、軒先にいくつもぶら下がるナーベーラーは、「食べて!」と促しているよう。

    このナーベーラーにぴったりの調理法が、ウブシー。チャンプルーやイリチィーと並ぶ、代表的な家庭料理で、味噌仕立ての煮物です。

    甘くてどろっとしたナーベーラーのドゥ汁(素材自体の水分)は、味噌との相性が抜群なのです。

    また、茹でて冷やして和え物などにすると、見た目にも涼しい料理になります。夏のナーベーラーは、毎日食べても飽きない、暑さの中で身体が求める味です。

    ナーベーラーウブシーのつくり方

    画像: ナーベーラー(ヘチマ)に元気をもらう|やんばるの太陽が育てる島野菜

    鍋に油を熱し、豚ひき肉と、皮をむいて輪切りにしたナーベーラー(ヘチマ)を炒めます。だしに味噌を溶き、鍋に加え、ナーベーラーがしんなりするまで弱火で煮込みます。一口大にちぎった豆腐とチリビラ(ニラ)を加え、ひと煮立ちしたらできあがり

    本記事は『おばぁたちの台所 やんばるでつないできた 食と暮らしと言葉の記録』金城笑子・著(グラフィック社)からの抜粋です

    <撮影/田村ハーコ 書籍企画・構成/しまざきみさこ 執筆・編集協力/大島佳子>


    画像2: 夏、軒先にいくつもぶら下がるナーベーラーは、「食べて!」と促しているよう。

    金城笑子(きんじょう・えみこ)
    昭和23(1948)年、沖縄県本部町備瀬に生まれ、名護市で育つ。昭和44(1969)年、女子栄養短期大学卒業。沖縄に戻り、昭和48(1973)年、学校栄養職員に採用される。平成2(1990)年、大宜味村の食文化やその知恵を後世に伝えるべく、食堂「笑味の店」をオープン。集落のおばぁやおじぃたちがつくる島野菜などを使った、美味しく栄養満点の家庭料理を提供し、その味を求めて国内外から多くの客が訪れる。

    インスタグラム:@eminomise

    「笑味の店」ホームページ:https://eminomise.com/

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