(新装版『へバーデン結節を自力で防ぐ』より)
患者の9割が女性。手仕事の人に多い
へバーデン結節は進行性の病気、5年で手指が変形し始める
高齢女性の手指をみると、第一関節(指先からひとつ目の関節)がボコッとしていることが少なくありません。
これは「へバーデン結節」という手指の病気の症状。正式に診断されていないケースも含めると、340万人もの人が苦痛を感じているといわれています。
しかも、この病気を患う9割は女性。家事や仕事で手指を多く使う40歳以降の女性に多くみられるのです。
へバーデン結節は進行性の病気であり、更年期にかけて初期症状が出始めると、およそ5年で一気に手指の変形が起こるとされています。
つまり、変形し始める前の予防が何より大切な病気のひとつなのです。
指先を酷使するこんな人に多い
手指、手首の痛みを悪化させないためにも、知っておきたい「NG習慣」
「手指や手首に悪いな……」と思いながらも、ついついやってしまう習慣を紹介します。手指、手首のためにも注意しましょう。
やめたいNG習慣①
サイズが大きく重量感のあるスマホを持つ
ますますスマホのサイズが大きくなっていく昨今。見やすいからと大きなサイズのスマホを選びがち。
しかし、大きさに伴ってスマホも重くなるので、手首にかかる負担は増すばかり。手を痛めないためには、小さめで軽いものを。
やめたいNG習慣②
パソコンのキーボードを強く叩く
パソコンのキーボードを打つときの負荷や衝撃は、かなりのものです。キーボードを強く打つクセがある人は要注意。
また、厚みのあるキーだと高くて指を上げてから押すまでの動作が大きくなるので、指への衝撃はさらに増します。
やめたいNG習慣③
パソコンでショートカットキー操作を多用する
パソコン操作で気をつけたいのは、作業を効率よくするための「ショートカットキー操作」。
指を広げたり、不自然にねじりながら行う操作が多く、一番弱い小指への負担は特に大きいので、極力避けましょう。
やめたいNG習慣④
重いものをまとめて購入する
重い荷物の入った買い物袋が手指にくい込むと、指も痛みます。
手指の負担になるペットボトル飲料や牛乳などの重いものは、宅配サービスを利用するなどして、持ち帰るというつらさから体を解放してあげましょう。
やめたいNG習慣⑤
肩より高い位置で洗濯物を干す
腕を肩の高さより上げてピンチをとめるのは、上下を向く動作のくり返しになり、首への負担が増して、手指の痛みを増幅させます。
ピンチハンガーを使うときは、あらかじめ低い位置でとめてから、物干し竿に移動しましょう。
やめたいNG習慣⑥
フライパンをあおって料理をつくる
フライパンをあおって調理すると、手指や手首の負担になります。
長年のクセでやってしまいがちですが、木べらなどで混ぜ炒めすることで、負担の軽減に。菜箸も手指の痛みを増幅させることがあるので、痛みが強いときは要注意です。
本記事は新装版『へバーデン結節を自力で防ぐ』(扶桑社)からの抜粋です
富永喜代(とみなが・きよ)
富永ペインクリニック院長。医学博士。日本麻酔科学会認定麻酔科指導医、産業医。1993年より、聖隷浜松病院などで麻酔科医として勤務し、延べ2万人を超える臨床麻酔実績をもつ。2008年には、愛媛県松山市に富永ペインクリニックを開業、へバーデン結節外来を開設。経済産業省「平成26年度健康寿命延伸産業創出推進事業」を委託され、新しい痛み医療のリーダーとして注目される。著書に『こりトレ』(文藝春秋)、『指先の激痛・腫れ・しびれ へバーデン結節は自分で治せる!』(永岡書店)など。新装版『へバーデン結節を自力で防ぐ』(扶桑社)が2023年8月に発売。
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手指の第一関節にコブのようなものができていたり、曲がって戻らなくなってしまったり。これは「ヘバーデン結節」という手指の病気の症状。進行性の病気で、放置しておくとやがて少しの刺激でも激痛を引き起こし、およそ5年で指先の関節が変形して戻らなくなるといわれています。
更年期を過ぎた女性に多く見られるそんな症状に効く「10秒神経マッサージ」を、日本で初めて「ヘバーデン結節外来」を開設した富永ペインクリニック院長の富永喜代先生が伝授。そのほか痛みが起こるメカニズムから、「ヘバーデン結節」をはじめとする手指や手首が痛むさまざまな病気、自分でできる痛みの予防・改善法、痛いときに役立つ生活の知恵まで、痛みの原因を知り、痛みから解放される手助けとなる情報をまとめた1冊です。