(『天然生活』2020年11月号掲載)
ひたすらちくちく。布と向き合う時間
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
もともと縫いものはあまり得意ではないのですが、7年ほど前にたまたま手に取ったのが麻風呂敷でした。色合わせや布合わせが印象的でひと目惚れ。ご縁があり、つくり手の七梅さんと知り合い、麻風呂敷をつくる会に参加してつくったのがこの2点です。
大きいものはカーテン代わりに使っていて、光を遮る加減が絶妙で気に入っています。小さいほうはクロス代わりにしたり、お弁当を包んだり。あえて端の処理をしなかったので、洗うたびに風合いが増してよい感じになってきました。
縫い合わせの手法は「折り伏せ縫い」というもので着物の背中部分などに使われるものだそう。裏も表もなくどちらも楽しめるのも、この風呂敷の特徴です。
同じ風呂敷でも、色の合わせ方や大きさで印象が大きく変わるのも楽しいんです。色とりどりの天日干しの麻のほか、七梅さんが玉ねぎ皮やびわ、コーヒーなどで染めた布、たくさんの糸もあり、それらを選ぶ時間もわくわくしました。
いまは、これよりさらに大きいものに挑戦しています。布と向き合って黙々と縫い進めると、あっという間に時間がたってしまいます。といっても、自粛期間はなんだかんだあわただしくあまり時間がとれなかったので、秋が深まったらまた進めたいと思っています。
〈撮影/山田耕司 取材・文/結城 歩〉
瀬戸口しおり(せとぐち・しおり)
料理家。おおらかでいて、ホッとする味わいの家庭料理のレシピを提案している。季節の保存食づくりのほか、エスニック料理も得意。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです