(『天然生活』2020年11月号掲載)
葉山の自然のなかで体を動かし、心を解放
「走ると疲れると思いますよね。でも、逆なんですよ。気持ちも体もスッキリして、エネルギーが戻ってくる感じがします」
悠々と広がる葉山の海を背景に颯爽と走り抜け、笑顔で話してくれたアロマセラピストの大橋マキさん。自然豊かなこの地に暮らし始めて13年。健やかに暮らすための習慣に、「浜ラン」を真っ先にあげてくれました。
「もともと面倒くさがりで、ランニングに憧れながらも挫折ばかり。でも、息子を海に送るついでに走ってみたら、圧倒的な気持ちよさだったんです。体の中に空気がいつもよりたくさん入ってきて、脳が喜んでいるようでした」
「浜ラン」は、うれしい連鎖も生み出しました。30年ぶりに始めた剣道もそのひとつです。
「走り始めて約1年。続けた経験が自信になり、胆力が鍛えられ、次の一歩につながったのだと思います。体力は新しいことを始める原動力にもなります。『はっぷ』という団体活動を通じて、シニア世代の方たちとガーデニングや山歩きをしながら体力づくりのお手伝いをしていますが、運動を習慣にしてきた人は、健やかさもチャレンジする気持ちも断然違うんです」
体の声に耳をすませながら取り入れるハーブやアロマ。ウクレレを奏で、心を解放する時間。走る以外にも、大橋さんは体と心を整える小さな習慣を、日々のあちらこちらにちりばめています。
「どれも無心になれて、自分の頭を一度空っぽにする作業かもしれません。日常は、仕事に家事、母親としての役割など、思うように進まないことや、調整ごとがたくさんあります。さらにいまは、環境に阻まれることも多い時代です。だからこそ、自分でできることを続けながら、体を整える大切さを実感しています」
いまの暮らしのなかに、健やかに生きる道がある
海も庭もない、いまの自分の環境は大橋さんとは違いすぎる。そう思う人もいるかもしれません。大橋さんは、こうも話してくれました。
「自分が暮らす環境や生活動線にヒントがあるように思います。いきなり走りはじめなくても、ベッドから起き上がる、フライパンを持つといった動作ひとつにも筋肉を意識する、お風呂に入るついでにストレッチをするだけでもいいかもしれません。生活の流れのなかで、無理なくできる小さなことをまずは続けて、次の一歩につないでいく。私の場合は、続けて走りやすい場所が海だったのだと思います。それぞれの暮らしや、住む土地に合った健やかさへの道が、きっとあるのかもしれませんね」
病気にならないための私のお守り
和ハーブ酒とお茶
月桃、柚子、しょうが、イソギクをみりんにひと晩浸した和ハーブ酒と、季節のハーブを合わせた養生茶。
「和ハーブ酒は、とろりと甘く芳醇な香りです。疲れたとき、ひとさじ口にすると、体の中からポカポカに。お茶は、月桂樹や紅花、夏みかんなど、夏の疲れをいやすブレンドです」
アロマオイル
やけどや虫さされにはラベンダーの精油を、鼻づまりにはユーカリやミントの精油をホホバオイルに混ぜて胸元に。自宅では海で拾った石にたらして香りを楽しみ、旅先ではホテルの部屋でのリフレッシュに使うなど、アロマは暮らしの一部としていつも手に取れるところに。
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〈撮影/山田耕司 取材・文/藤沢あかり〉
大橋マキ(おおはし・まき)
アロマセラピスト。神奈川・葉山に暮らし、三浦半島の自然と共生し活動する「はっぷ」の代表も務める。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです