(『天然生活』2021年11月号掲載)
大谷百世さんの
自分をいたわるための、6つのセルフケア
1 家の掃除などで「切り替え」をする
外に出かけて人疲れしたり、気になるニュースを見て気持ちがざわついたり。人は生活していると、周囲からさまざまな影響を受けるもの。そんなとき自分と外の世界をきちんと分けて考える、「切り替え」を意識的に行います。
「『切り替え』にいいのは、服を着替えたり、お風呂に入ったり。私はよく掃除をします。不安定になりがちな時代、『切り替え上手』になったほうが、生きやすいと思います」

「家の状態と心身は不思議とリンクしていて、モヤモヤするときに掃除すると、すっきりすることも」
2 朝起きたときに体の状態をチェック
朝に目が覚めて、まだ布団の中で横になっているときが、体の一番「素」の状態がわかります。すっきりと目覚められたか、夢見はどうだったか、手足やおなかは冷えていないか。このときに自分の体を観察する習慣ができていると、大きな不調がやってくる前に対処ができるそう。
「ぐずぐずしたくなるときは、睡眠の質が悪い証拠。翌日きちんと眠れるよう、昼間の過ごし方を工夫します」

おなかに手を当てて、呼吸がしっかり奥まで入ってくるかも確認
3 バストマッサージで胸まわりをゆるめる
胸は「思いを留める場所」。ストレスがたまると胸が硬くなり、いいたいことや思いが詰まって、気分も苦しくなります。逆に胸がゆったりやわらかく開いていれば、リンパの流れもよくなり、肩こりが改善され、頭もすっきり。
「自分で自分の肩をもむのは大変ですが、胸のマッサージを習慣にすると、こりもほぐれます」。お風呂の中や寝る前に、左ページの耳マッサージとセットで毎日行っているそう。

1 腕を斜めに上げて二の腕から脇に向けてもみほぐす

2 腕を斜めに下げ、息を吐きながら肩甲骨から胸の方向に向けてもむ

3 手のひら全体を使いながら、乳首を中心にしてマッサージ。逆側も行う

4 最後に胸に手を当てて深呼吸
4 スパイスを活用し穏やかな眠りへ
日々の不調は、精油やスパイス、ハーブなどを漬け込んだホームレメディで解消している大谷さん。秋は「風(ルン)」の影響が増し、神経が過敏になりがちなので、スパイスの力を借りて落ち着かせます。ナツメグ・シナモン・クローブを混ぜたミックススパイスは、鎮静作用があり、睡眠の質を高めてくれる効果が。就寝前にホットミルクに加えて飲んだり、1~2g程度直接口に含んだりします。

鎮静作用で知られるナツメグと抗菌・抗酸化作用のあるクローブに、体を温めるシナモンをプラス

ホールのスパイスを購入し、ミルサーでまとめて粉状に粉砕しておく
5 耳のトリートメントで子宮ケア
チベット医学をはじめとした東洋医学の多くでは、耳は腎臓および生殖器とつながっていると考えます。「内臓を直接マッサージすることはできませんが、耳を手入れすることで、間接的に内臓もケアできます」。
あごをゆるめ、耳全体を起こすようにゆっくりと前・後ろに回し、最後に子宮の上に手を置き、余韻を感じます。力ではなく、手の重みを利用しながらゆっくりと大きく回すのがポイント。

耳が冷たければ指先でじんわりと温め、硬く感じるなら、ほぐれてやわらかくなるまでやさしくもむ
6 「風・水・火」の時間を意識して生活する
チベット医学では1日24時間を風・水・火に分け、その時間の性質に適したことを行うとリズムに乗りやすいと考えています。
風(ルン)は4~7時と16~19時で、気持ちや体が動きやすいので、逆に瞑想やヨガで落ち着かせたり、散歩をしたり。水(ペケン)は8~11時と20~23時で、掃除や洗濯、軽い食事など。火(ティパ)は12~15時と0~3時で、消化力や集中力が一番高くなるので、メインの食事や集中する仕事、会議など。眠りも一番深くなるそう。
「すべてをこれに合わせるのは難しいですが、スムーズな流れをつけるヒントになります」

仕事がひと段落した夕方、散歩に出ることが多いという大谷さん。近所には1200年の歴史をもつ神泉苑も
〈撮影/辻本しんこ 取材・文/田中のり子〉
大谷百世(おおたに・ももよ)
京都二条駅近くのサロン「Sua」のセラピスト。2011年独立。アーユルヴェーダ、タイ古式マッサージ、楽健法、エナビューティ、チベット医学などを幅広く学ぶ。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです